第417話「神生物極まる」

 底の見えない水底から青白く輝く巨大な何かが上がってくるのがわかる。

 徐々にその姿が露わになる。

 一切の節目のない滑らかなフォルムは蛇を思わせる。

 

 蛇は神として崇められていた地域もあるように、その神聖というものは人が外面で定めたものではないのだ。

 そして、大凡数千メートル級の巨体が俺達を見下ろしている。

 表面には凡そ鱗と呼べるものが見当たらない。


 蛇に睨まれた蛙のように身動きの取れない緊張感が縛る。

 蛇にしては額の一角が何とも言い難い空想上の生き物であるかのように定義を覆さんとするが、不思議と龍の類とは思えない。

 まじまじと窺えば蛇よりは断然龍に見えるのだが、それよりもしっくりくるのがユニコーンだった。

 

 鱗のない蛇に額がユニコーンという歪な外見のはずが、これ以上ない程生物として完成していると思えるのだから妙な話だ。

 これが神生物。

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