第400話「記念すべき初めてのお手伝い」

「今日は早起きだね。どう、ボクの隣で一眠りしていくっていうのは?」


「そうしたいのはやまやまなんだけどなー。俺が朝飯創らないと飯抜きになるけどいいわけ?」


「ありゃりゃ、ノリは良くなったのに言ってることは厳しいなぁ。ボクもそれが困るっていう言うんだから、人間てのも大変だよね」


「あんまり、うるさくすると二人を起こしそうだから俺は行くけど寝てていいから。独りで」


「もう、目も冴えたしボクも手伝うよ。料理っていうのも興味をそそられるんだよね。食べるのもいいけどその工程も楽しめればまさに一石二鳥だと思わない?」


「確かにこっちに来るまで料理もろくにしなかったのに、やり始めると案外はまっちゃうんだよな。せっかく作るんだから美味しいに越したことはないわけだし……。よしっ! じゃあ一緒に料理しようか」


「任せておいて、なんだかできそうな気がする。根拠は……」


 ルナが言いかけたが最後まで聞くつもりはない。

 言い出すまでに僅かにラグがあるのだから、それがルナ本来の思考から導き出された台詞ではないのだから聞くわけにもいかない。

 少しずつ溶け合う魂が完全に一つになるまではルナであってルナではないのだ。


 

  

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