第401話「朝の時間」

 朝食は小動物の類と果物が中心だった。

 ルナは思いのほか手際が良く初めての料理だとはとても思えなかった。

 というのも自分が初めて包丁を握った時は、みじん切り、短冊切り、拍子木切りどれもうまく切り分けも出来なかった。


 ルナは料理の仕方を身体が覚えているといえば違和感がない。

 きっと家の手伝いをしっかりしていたのだろう。

 

「この分だと俺が手伝ってるみたいだな。まあ、その方が楽ができていいってもんだけどかっこつかないなんだよな」


「作り出すとこれが止まらないんだよね。でも、一人だと飽きるよ!? 一人じゃ作らないからね。だから、やめないでよ!!」


 丸投げして、丸太に腰を掛けていたらすっぽ抜けたナイフが俺の腰の真横に腰掛ける。

 それはそれは深く深くもう動きたくないよと言わんばかりに深々と。

 俺は笑顔で立ち上がらざる負えない。


「刺さったら洒落になんないっての。刃物を人に向けるなってお母さんに教わらなかったのか? ……ったく」


「良く知ってるね。初めて包丁を持たせてもらった時にうまく切れてはしゃいでたら、怒られちゃったんだよね……」


「さあて、そろそろスペラ達も起きる頃だろ。ぱぱっと作ってしまおうぜ」


 バニティーが果物に魚とおかずにデザートと品数のバリエーションを増やすにはもうしぶない程の成果を上げて戻ってくるのが見えた。

 それなのに、ルナの気配が変わる。

 露骨に流れる空気が変わったのは料理を通して、本来の幼い感情が昂った為だろう。

 

(俺がどうにかしないと、不味いな。これは……)

 

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