第393話「闇、そして、闇」
このままいつまでも見つめていたい。
この時間が永遠に続けばいい。
何もない事こそが至高。
なぜ、そんな事を一途に願っているのかなどわからない。
人は常に新しいこと新鮮なものを求めて生きている。
退屈は悪だ。
今この瞬間でさえも意味を見出さなければ肯定することができないとするならば、つかの間の刻でさえ諸悪の根源となりえる。
ここで選択したことが間違いであるというならば選ばれなかった選択肢が正解であり正義なのか。
本当にそうなのか。
自問自答する。
必ずしも正解が正義だとは限らない。
その根拠が目の前に迫りつつある。
選ばれなかった選択肢が定を成す。
漆黒の底から、こちらに伸びてくる。
光?
光源でなければ視覚できないというのは常識である。
だが、伸びてくるのは光とは真逆の存在。
闇から闇が迫ってきている。
これは視覚がとらえた情報などではないと脳が理解する。
イメージするならばこれは腕。
細い腕から五本の指が、黒く、仄暗く、静謐で、淡く、靡いて、蠢き、笑みている。
不敵。
そろそろ、その指が俺の首に触れるだろう。
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