第392話「夢なら覚めてほしいものか」

 長い長い夢を見ていたような気がする。

 小説やゲームに登場するモンスターが跋扈し魔法が存在し、超科学なロボットが飛び交うファンタジー世界で生きているそんな夢。

 しかしながら、今の俺はただ茫然と動くことができない。


 見飽きた己の部屋で瞳を逸らすことなく一点をただ見つめていた。

 見つめる先は電源の入っていないテレビ。

 漆黒な画面に映り込むのは反射した自分自身のはずなのに、そこには自分は愚か部屋の風景すら映り込んではいない。

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