第348話「時の緒」

 俺は切り札となりえる力の片鱗を見た。

 どれだけ才能を磨こうと、知識を得ようと手に入れることができない力こそ奇跡というもの。

 定義などはなくとも人である以上絶対不可能だと言えば想像に難くない。


 数多の奇跡の内の時間に干渉する力を手に入れることに成功した。

 これは莫大なコスト故に今のPPでは手が出せなかった。

 しかし、僅か数日で神の領域へと踏み入れているのだ。


 その先は遥か彼方だとして、僅かに一歩踏み入れただけと捨て置くことなど出来はしない。

 本来その領域には触れることは愚か知ることすらできないのだから。

 

『時術 取得』


 頭に響いた機械音も今では福音にすら聞こえる。

  

 

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