第340話「ホラー宛ら」
さてさて、どうしたものか。
俺が実体が無くふわふわとしたものを生理的に受け付けないのは、イメージによるものだ。
ルナ、ディアナ、ましてスペラでさえ俺ほど恐怖しているようには見えない。
無論、命に直結する問題なのだから何も感じないことはないのだが、ホラー映画に化学兵器に多くの情報に触れる機会があった俺達だからこそこの相手は天敵になりえる。
この世界ではモンスターが至る所に跋扈し溢れている。
日常の一部というならば耐性もあるというもの。
俺達はこの世界で旅をする以上克服していかなければならない。
「ユイナ、試してみたいことがある。今は下がって少しでもあれに慣れるように良く見ておいてくれ。この先、あの手の化物何て五万と見ることになるんだ。序盤の雑魚で練習するくらいでちょうどいい」
どこまで行ってもあれは雑魚などではない。
それこそ到底生身の人間が挑んでいい代物ではないことは直感で理解していた。
「絶対に触れちゃ駄目だからね。危ないと思ったらすぐ逃げて……」
「大丈夫だ。とりあえず、信じて待っていてくれ。それと、他のみんなは絶対に手を出さないでくれ」
「アーニャなら倒せるにゃ。ミャーはそれがわかるにゃ」
「いくらアマト君でも簡単にはいかないよ。触れたら最後、触れたところから死ぬからね」
「アマトさん、やはりここは全員で行くべきではないでしょうか。幸い一度は消し去ってるのですからその方が安全ではないですか?」
「それじゃ意味がないんだ。可能性は100%で初めて安全って言えるじゃないか? それこそ失敗は命取りならなおさらだ。誰かがミスをすればその誰か、場合によっては他の誰かが危険な目に合うんだ。ならば俺が奴から確実な一手を掴んでくるさ」
俺は大手を振って怨魂へと歩み寄る。
奴はこちらの事など見向きもしない。
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