第339話「このまま永久へ」

 この悍ましい存在に臆したのは紛れもない事実だった。

 ユイナは俺に頼ることをしなかったことで、安堵した自分がいることを知ることになり心臓を鷲掴みにされたかのような痛みが走る。


 これだけ逃げ出したくもなる状況だというのに俺は誰よりも先に一歩前に出ていた。

 バニティーは立ち止まりはしたものの、俺たちの元に戻ってくることもなくただ傍観するのみであった。

 嫌悪しているようにも見えず、ただ足を止めた俺達を待っているのだ。

 

 強いて何か思うところがあるとすれば、先を急ぐ俺達がこの場に留まる選択をしたことに対して些か疑問だという一点のみ。

 このまま放置も出来ないんだよ。


 

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