第338話「死神にも似た」

 ユイナ達は一度はこのとんでもない化物を単独で撃破しているという。

 一歩間違えれば後がないという状況で引かずに、挑んで勝利をつかんだ。

 それにもかかわらず再び死神に出くわしたというのだから気が気でない。


 こればかりはそうそう慣れるものではない。

 

「迂闊に近づけない。遠距離からでも物理的にどうこう出来ないっていうんだからたちが悪いな。よくあんなものと相対できたな」


「ユーニャがさっと、えいっ! ってやっつけたのにゃ。楽勝にゃ」


「もう、見たくもないって思ってたんだけど……こんなに早く見つけるなんて本当についてないよ。アマト……任せても………………なんでもない」


 ユイナは俺を上目づかいで一瞥して、ふと我に返ったように首を振って怨魂に向き直る。

 これは責任感がそのまま出ているに過ぎない。

 命を懸けるに値するほどの強固な意志など呪縛としか表現のしようがない。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る