第320話「壊された絶対断絶」

 さきの事まで読んでいたと勘繰ってしまう。

 

「バニティー、何をした? 少なくとも現状を把握してるのはお前だけだ。説明してもらう」


「おらはなんもしてないだが。結界さ、発動したってことは魔物さ来たってことだ。この家さ外界と違った狭間さあるが。んだが、発動してから破られるまでが短すぎたが体さ感じてしまったんだな。でねーと普通は気づきもせんが」


「それじゃ、これは意図して起こったわけじゃないんだな……。それだとスペラの虚像が触れて歪みが直ったこととの関係が説明できないんじゃないか? いくらなんでも都合が良すぎるだろ」


「アマトさん。スペラちゃんは無意識に魔力を体外に放出して分身体を作って、結果としてその分身体の魔力を結界に分け与えた事で壊れかけた結界の補填に回したの。それでも結界を修復するところまではいかなかったから、分身体は消えて結界も緩やかに壊れてしまったのよ。このタイミングで新しい力に目覚めたみたいね」


 偶然にもスペラが新しい力を手に入れたというのだろうか。

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