第319話「シルエットフォーミュラー」

 ベッドに横になるスペラの前に立ち尽くす人影のようなものがある。

 それが人のようであると直感的に理解し、害になるようなものでないと確信したのはその特徴的なシルエットだった。

 この場にこのびりびりと青白い電気を常に発している猫耳の者など一人しかいない。


 意思があるのかわからないがきょろきょろと挙動不審にぐるぐると動き回っては絵の前で立ち止まり、触れて歪みを正していく。

 いつしか船の上にいるような揺れもなくなり違和感が無くなっていった。


 それと並行するように電気を帯びたスペラの幽体も消えていった。

 まさに全てが終わるのを待っていたかのような絶妙なタイミングでバニティーがお茶を持って戻って来た。

 コップの数は六つ。


 どこまで読んでいる。

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