第318話「虚ろな空間」

 不穏な空気の中でルナが反発の意思表示をしたのは建前だと理解する。

 断られたというのに眉の人るも動かすことなくバニティーは、飲み物でも持ってくると言い残し台所へと向かって行く。

 足取りも一定。


 迷いなどというものもなくそこから読み取れるものはない。

 機械的といえば聞こえはいいが、機会でなく人だ。

 これから、仲間に説き伏せてしなければならない現実とうやむやにしておくことが命運を分けるかもしれないという虚想。


 周囲のあらゆる彫り物が終始変化していることにようやく気が付いた。

 空想の世界のような異質な空間だと今気が付いた。

 そして、スペラもそれに気が付いた。


 目を覚ましてなどいないというのに。 

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