第301話「疑心暗鬼」

 いつも何かに祈ってるように思うが、他力本願なのは今に始まったわけではない。

 結局のところうまくいかなければ他人が悪い。

 世間が悪いのだと現実を逃避していた。


 それも数日前までの事で今では考えが180度変わっていた。

 全て自分自身の選択でどうにでもなると今では思える。

 人間というのは極地にでも立てば性格すらも容易に変わるのだ。


 そして今もまたこうしてどうするか決めかねている。

 命を救われる結果となっているというのに、安易に手を借りてもよいのだろうかと。

 これもこういう世界でなければ信じ切っていたのであろうが、半ば疑心暗鬼になっている今では苦痛を感じて余りある。


「なんばしとるか? ほら、ついてこい」


「ああ……」


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