第225話「静かな夜と……」

「気にかけてくれるのは嬉しいけど、自分の事も考えてもいいんじゃないかな。わかってるんでしょ?」


「俺も同じってことだな。結局認識の違いによっては俺も立派な危険分子ってわけだ。力を何に使うかは持っている者次第、それを決めることは持たない者達はできない」


「考えていても答えは出ないと思うよ。仮に答えを見つけても次に目を覚ますころには考えも変わるし、情勢も変わるから永遠に悩まないといけなくなるね」


「数千年の時間をもってしても答えが出ないなんて、まるで誰でも知ってる円周率みたいなものか。そう考えると案外考えるのをやめるのも悪くないな」


「一眠りして綺麗に忘れて次に備えればいいよ。想像以上に拠点として機能しているから見張りも一人で足りたしね」


「この視認は出来ないが結界を張ったのはディアナか……。モンスターからはこちらの姿が見えてないようだな。モンスターが不自然なくらいこちらに興味を示さないから気になってはいたんだ」


「本調子じゃないみたいだけど、横になる前に四重唱で魔法を唱えてたからね。これだけ強力な結界は戦闘中でもなかなか見ることはないんじゃないかな」


「それなら、安心だな。悪いが少し休ませてもらう。何かあればすぐに知らせてくれ」


「りょーかい」


 俺はルナに後を託しそのまま、暖かいベッドに横になると一呼吸もせずに眠りについた。

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