第226話「6日目の朝とマシュマロ」

「暑い……」


 疲れはてて瞼を開ける事すら億劫だというのに、何がどうなっている。

 身体には熱を帯びたなにかがまとわりついているような感覚がある。

 予想はしていたが、時系列的におかしいと言いたいが言う必要などないだろう。


「みゃ~、むにゃむにゃ……」


 相変わらず先に寝たはずなのにいつの間にか俺のベッドに上がり込んできたらしい。

 正直に言わせてもらえば無理に引きはがすつもりもない。

 そんな無駄な事に体力を使いたくはないし、添い寝しているだけならば倫理的には何ら問題ない。


 いつの時代も問題は周りが騒ぎだすからこじれるのだ。

 この場にはとやかく言ってくるものなどいるはずなどない、そうに違いない。

 俺はスペラとは反対側に寝返りをうって、先程にはなかった柔らかな感触に触れてしまった。


 この感覚は初めてだ。

 つい今しがた、問題などないと思ったのもつかの間どうしたらいいかと思案する。

 とりあえず、眠気も覚めてしまったので瞼をゆっくりと開ける。


「……」


「……」


 このマシュマロのような手触りの持ち主と目が合った。

 

  


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