第224話「Just a Survivor」
一周廻って入り口へ戻るとルナの姿があった。
雲の間から差し込む淡い月明かりに妖艶に照らされる彼女の姿は、悲しげで……美しかった。
その姿を直視できず時間を確認すれば、ちょうど3時になったところだった。
「時間でしょ?」
「時間は指定していなかった……。だが、時間通りだ」
「でしょ」
「もういいのか?」
「人間である前に悪魔だから。魂が完全に体に馴染めば人間ではなくなるんだけど結局命の単位は変わらないってこと」
「俺の知ってる悪魔ってのと違うが、わからなくもないのは意識を共有したからか。それよりも悪っていうのに抵抗はないのか。人間がそう言ってるだけで正義か悪では計れないのだろう?」
「別に気にするようなことでもないよ。結局人に何て呼ばれてるかなんて関係ないでしょ。いつの時代も言われる人が気にしているから周りが騒ぎ立てるんだよ。ボクからすればボクの行動を妨げるなら、みんな悪って言ってしまう事もできるけど違うでしょ」
「さあな」
「そうやって境界線をあいまいにしてくれればなんだっていいってことだよ。所詮は呼称」
「くくりに意味はない……か」
それもそうだと思う。
いちいち気にしていたら、気が滅入ってしまう。
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