第212話「僅かな時間の先には」

 戦場ではあくまで長期戦でもなければ取り込むメリットはほぼない。

 取り込んだモンスターも何らかのエネルギーに変換されて取り込んでいるようで、空腹を満たすこともなければ取り込んだモンスターに変質するようなこともない。


 都合のいいように思えてならないが、深く考えていても答えが出るわけでもない。

 自分の事なのになにもわからないというのがこれほど不安になるものなのか。

 自問自答は常に繰り返されるというのに、何時になったら答えが出るのだろう。


 瘴気を放つ元凶がいなくなったことで徐々に空気は変わっていく。

 淀んで星の一つも見えなかった空も霧が晴れて戦場を明るく照らし出していた。

 月明かりが照らし出したのは……。


「ユイナ……」

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