第211話「一度ならず二度までも」
こんなところで力尽きて死ぬなんて冗談じゃないって思うから。
冷静であれと常に言い聞かせておかなければ、そこいらの雑魚モンスターでさえもまともに戦う事なんてできはしない。
ルナは真っ二つになり断面を露出させた恐竜に手を翳し何かを読み取っているが、どうやら結果は芳しくないようだ。
瘴気を纏った恐竜の死骸をこのまま放置しておくのは良くないような気がした。
モンスターの骸はその土地の浄化作用があれば処理されるという事は知っているが、この開けた土地にはそれは期待できそうにない。
ならばやるしかない。
「ルナ、そいつから離れてくれ。何が起こるかわからないからな」
ルナが俺の後ろへと下がるのを確認すると、別れた両方の骸にそっと両手で触れる。
イメージするのはこの恐竜を取り込むことのみ。
恐竜は俺の腕を通って体内に吸い込まれるかのように消えていく。
単純に考えれば俺を圧倒的に上回る体積のあるモノを体内へと取り込むことなど出来はしない。
しかし、数秒としないうちに恐竜は消えてなくなった。
最後に残ったのは瘴気を纏ったビー玉のような丸い宝石だけだった。
ルナはその宝石を拾い上げると、呆れたように言う。
「ゲームにしてはあんまり面白くない趣向だから、ボクは嫌いだって言ったんだけどやめる気はないみたいだね」
「どうにも気に入られてるみたいだな。冗談じゃない」
「これ、貰っていいかな? ボクならこれ、使えるようできると思うから」
「餅は餅屋っていうからな」
ルナは肯定だという事を理解して懐に収めた。
その時俺の身体に明らかに変化があった。
ステータスはすべてのバーがマックスまで回復している。
アビリティには『瘴気』『寒無効』スキルも『炎柱』『炎の息吹』の追加が有りステータスは軒並み上がっている。
純粋に肉体を鍛えるだけではなく、モンスターを取り込むことでもステータスを引き上げることができるのだが、雑魚モンスターを取り込んでも特に微々たる回復効果がある程度で目に見えて実感するまでには至らなかった。
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