第213話「夜を切り裂いて」
星明りの中に仲間たちの姿を見た。
いくら星が煌びやかに輝いているからと言っても日が沈んでいるのだ。
それでも間違いなく気の置けない仲間たちなのだという事はわかった。
「わかるか、この気持ちが何なのか」
「今ならわかる。アマト君と一つになったことで確かなものになったよ」
「その言い方は誤解されるから向うでは言うなよ」
「えー、どうしようかな。言ったよね、今ならわかるって。それでもね、面白いことが好きな本質までは変わらないんだけど」
「好きにすればいいいさ。その時はわかってるな?」
「人に悪魔と呼ばれてるボクに意地悪を言うなんてねー。まあ、それでこそボクが好きになったアマト君なんだけどね」
「言ってろ」
内心では満更でもないと思っている自分がいた。
姿こそ、美少女のそれなのだから好きと言われても嫌な気はしない。
……と思うが正直、外見など昔から気になどしたことがなかった。
それは自分自身が容姿端麗、眉目秀麗などという自惚れもなければ思ったこともないのだから人に自分の持っていない物を要求するなど烏滸がましいというもの。
この世界で外見も種族も違う人達とも特に気にせず接していられるのはそこからきている。
はっきり言ってしまえば種族間にわだかまりが有るのだという事は、立ち寄った町の情景や雰囲気からわかっていた。
それでも態度を変える気などさらさらないのだから俺には全く関係ない。
周りにどう思われようが曲げることなどしないのだから、少々頑固な性格なのだと思う。
まあ、性分なのだから仕方がない。
ルナについては悪魔以前に仲間。
忘れて見境がなくなるほど子供でもなければ、本能の赴くまま生きる動物でもない。
ユイナとスペラはディアナを気遣ってか、ゆっくりと歩いてこちらに向かっている。
ならば、こちらが急ぐしかあるまい。
「ルナ」
「了解」
俺がルナに一声かければルナは返事一つで俺の考えを読み取り並走してユイナ達の元へと走る。
一気に加速すればあっという間にユイナ達の元へとたどり着く。
先程までの疲れもどこかへ行ってしまっていた。
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