第209話「狩りの時間だ」
上を言い出せばきりがないのは言うまでもないが、数千のモンスターを一瞬で消し炭にしたというのにランクではBだというのだから笑えない。
炎の塊は地面に落下されたと同時に天まで燃え上がる柱となって燃え続ける。
それが徐々に炎が弱くなっているが、火が消える要因はいくつもあるがその中でも最も危険な条件の一つだった。
俺は息苦しさを感じていたのだ。
一酸化中毒というのは息苦しさなども感じることなく意識が飛んでそのまま死に至るが、酸素が無くなるどころか大気中の全てを物理的に燃やし尽くしている事による一種の真空状態が出来上がりつつあるのだ。
それほどこの燃え盛る炎は高温でありただの火ではない。
魔力が込められた魔炎なのだ。
「さっきそのまま飛び込んでたら……」
「暑い!?」
「それで済むのはルナだけだな。俺は耐えられるとは思えないな。少なくとも今は……」
「試してみるのも悪くないけど、そろそろボクもここにいるのが飽きてきたかな」
「最初からこんなところに長居するなんて御免蒙るっての!! さあて、狩りの時間だ」
俺はガルファールを景気よく一振りし旋風瞬刃波を放つが、微弱な魔力を乗せただけでは足を切断するまでには至らない。
空気の刃が切り裂き血しぶきを上げるもののなかなかどうしてしぶとくやられてくれはしない。
「この良くない気の流れはバックがいるみたいだね。言葉も通じそうにないし倒すしかないのが歯がゆいけど仕方がないってことでいいかな」
ルナはトルスラルという名の槌を恐竜の顔面へと叩き込む。
吐き出す炎を押し返すように捻じ込まれた鎚は轟音と衝撃を周囲に響かせて恐竜の頭の原型を変えた。
それでも暴れる狂竜となったモンスターは動きを止めることはない。
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