第123話「幕間Ⅹ~仮面の皇子」

 とある城の一室に青年はいた。

 服装も気品のかけらもない質素な襤褸を纏っている。

 それでも、生まれながら持ち合わせた品格と言うものは完全には隠せていない。


 それは詰めの甘さその物でありこの人物性格を表していた。

 そんな青年に部屋の外からの呼びかける者がいた。

 

「殿下、時間です」


「しばし、またれよ」


 青年は誰かに着付けを任せることなく、己自身で支度をする。それは先程までとは違い、遠目でも一国の皇子と理解することができる程煌びやかな装飾品に身を包んだ姿だった。


 そして、仮面を顔の上半分を仮面で隠して素顔を隠す。

 それは代々受け継がれたしきたりであり、とあるものとの盟約であった。

 まさかそれが、この者の運命を変えるなどとはまだ誰も知らない。

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