第122話「止まない雨」

 うかつにうごけない状態のまま時は流れていく。

 正体も掴めないのでは打つ手は限ら手ている。

 どうする。


 誰も教えてくれない。

 判断は常に自分にゆだねられている。

 


 日は昇り切ったというのに相変わらず外は薄暗く、夕方なのかと思ってしまうほどだ。

 俺達の存在が概ね筒抜けの状態では先を目指すのもためらってしまう。

 恐らく標的は俺なのだから、俺だけが離れればそれでいいのか。


 答えは否だ。

 一度縁を結んでしまえばどのような形であれ必ず、危険に巻き込まれるだろう。

 それならば、俺が自分の力で守らなければいけないと思う。


 それがたとえどれほど過酷でもだ。

 俺が一人で偵察を行っていた際、襲われることがなかったのはアカネがいた事が大きい。

 今はそれがないのだから、一人になれば何者かの奇襲は受けやすくなる。


 敢えて待ち伏せにもこたえることもできるが、それが最善かと言われれば必ずしもそうではない。無駄な戦闘はなるべく避けたいところ。

 それが叶うかどうかはわからないが、試してみたいことはある。


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る