第113話「動き出す鼓動」

 俺達は谷へと向かって走り出す。

 地面は長く降り続けた雨によってぬかるんでいたが踏み固められていた為か、足を取られるほどひどくもない。しかし、辺りに水が張っている為どこに溝があるのかといった境目がまるで分らない。


 判断材料は辺りに建つ建物しかない。建物がから一定の距離を通る様にすれば障害物や足場に悩まされることはほぼないと言いたいところだが、この村の本来の姿を知らないのだから必ずしもそうだとは限らない。


 それでも、立ち止まってなどはいられない。

 俺達は意味もなく村の果てへと向かっているわけではない。

 谷へとたどり着くころには恐らく結果が出ているのだから。

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