第108話「安全地帯」


 俺は準備を整えるとその場にとどまっていられなくなり、スペラ達の寝ている病室となっている部屋への扉を開いた。二人は相変わらず深い眠りの中にいるようだ。目覚める気配はない。

 雨が激しいために外の空気を吸う為に出ていくわけにもいかない。


 もしやと思い辺りを見渡すが、傘のようなものはないが全身を包むことができる程度に大きな布きれを見つけた。撥水性が優れているわけではないのだが、無いよりはだいぶましだと思い頭からかぶるとそそくさと外に飛び出した。


 目的は一人になりたかったのと、明るくなった村を軽く見ておきたかったからだ。

 真っ暗闇では外に不審物があってもわからない。建物の周囲に土砂崩れの可能性だってある。場合によってはこの建物を支えている地面でさえも安全とは言えないのだから確認をしておくのは至極当然のことだ。しかし、昨日までは余裕もなくそこまで気が回ることはなかった。


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