第21話 体の秘密
ジーンに慰められた翌日、アギトと3人の女性はリビングで話をしていた。ジーナはアギトの事が心配だったらしく話しかけて来た。
「アギト君、昨日は眠れた?」
「あぁ、ジーナさんには世話をかけた。ありがとう」
「アギト君が元気になってくれれば、それでいいの♡ 昨日は見ているこっちが辛かったもの」
「もう大丈夫だ、多分……」
「そう、ならいいわ。でもまだ本調子じゃないみたいね」
「そうだな。もう少し時間が欲しいな」
「そう、無理はしないでね」
「あぁ」
「ところでアギト君、胸のアザと言うか刻印みたいなモノは以前からあったの?」
「生まれた時からあったな。それがどうかしたのか?」
「私にもあるの、見て!」
ジーナは服のボタンを開けていく。リリーナが慌ててボタンを外すのを止めようとする。
「リリーちゃん、遊びでしてるんじゃないの。すごく気になるのよ。だから確認させて」
ジーナはその見事な乳房をアギトの目の前にさらけ出す。その白く大きな乳房を左右に広げると、やや青みがかった竜に似たアザが現れた。生まれて初めて女性の乳房を直に見たアギトは、目を逸らす事が出来なかった。
しかし、いつまでもそうしてはいられないので、気を取り直して胸のアザを見る。アギトと同じ形で大きさもほぼ同じ。
アギトは思わずジーナさんのアザに触れる。
「俺と同じだ。しかし、俺のは肌色だがジーナさんのは青みがかってるな」
ジーナは顔を赤らめながらアギトに話かける。
「アギト君も服を脱いで」
アギトも服を脱ぐと2人はお互いの胸のアザを見比べる。
ジーナ。
「リリーちゃんも服を脱いで」
「わ、私もですか?」
「そうよ、この際気になる事は全部調べましょう」
リリーナはアギトの顔を見て、かなり悩んでいる。
「俺は外に出るよ」
「ダメ! アギト君も一緒にリリーちゃんの胸のアザを見て! そしてリリーちゃんの秘密を解き明かさないと。そうしなければ私達は前に進めない。だからアギト君もここにいて!」
リリーナは意を決して服を脱ぐ。しかしリリーナはワンピースだった為、下着だけになってしまった。
「は、恥ずかしい!」
そこにはリリーナの見事なプロポーションがあった。透ける様な白い肌に大きな乳房。ジーナと見比べても遜色がない。
リリーナはジーナさん以上に顔を赤らめながら、その大きな乳房をアギトとジーナ、ミアの目の前にさらす。リリーナはおもむろにその乳房を左右に広げると同じアザが現れた。
アギトは平静を装いながら彼女の胸を見る。
「俺やジーナさんと同じだが、リリーのは赤みがかった色だな」
アギトはジーナ同様、リリーナのアザに触れる。するとリリーナの口から声が漏れる。
「あっ、……そこ……ダメ」
アギトは思わず指をのける。
「す、すまないリリー。悪気はなかった。しかし、不思議だな? 同じアザ、いやアザではなく刻印か。その刻印を持った人間が3人も同じ場所に集まるとは」
ジーナ。
「そう、だから私はこの刻印が気になるの。私達に何かを訴えかけているようで」
「ジーナさんも、リリーも身体には何か異変はないのか? 俺は健康そのものだが」
「私は何ともないわ」
「私も何ともないです」
ミア。
「ボクだけ刻印がないのは、のけ者みたいで嫌だな」
ミアが拗(す)ねた口調でアギト達を見る。しかし、上半身裸の男女が2人にほぼ全裸の女性が1人。拗ねた女性が1人。
アギト。
中々シュールな絵づらだな。ちなみにリリーの下着は白だった。黒から元の白に戻したのか?
ジーナとミアがリリーナの身体を調べるので、アギトは外に出て家の修繕などをしていた。
そこにジーンが現れた。
「アギト君、お早う! 朝じゃなくもうお昼かな? 彼女達に追い出されたの?」
「そんなとこだ。その…昨夜はありがとう。だいぶ気が楽になったよ。ところでジーンさん赤ん坊は? また旦那さんに任せているのか?」
「旦那は仕事よ。赤ちゃんは近所の奥さんに任せてあるわ。アギト君良かったらウチで昼ご飯食べる?
旦那ももうすぐ帰って来るし、どうかな?」
「それなら、お邪魔しようか」
アギトはジーン夫妻の所で昼食をとり、家に戻る。
夫にアギトの感想を聞くジーン。
「どう、アナタ。アギト君の感想は?」
「多少、口数が少ないがいい青年だな。この村は彼に救われたんだな」
「口数が少ないのは、まだ本来の彼に戻ってないからよ。でも時間が彼の心を癒してくれるわ」
レスはアギトの後ろ姿を眺めながらジーンと話をする。
「ところで昨夜の彼はどんな感じだった?」
「上手く言えないけど、二つの心がある感じかしら。カーシー様と対した時は凄く強気で、そうかと思えば昨夜みたいに脆いところもある。私から見るとどちらも本当のアギト君。でも少し無理をしている様に見えるわ」
「人は皆、幾つもの心と顔を持っているもんだよ」
「アナタも色んな心を持ってるのかしら?」
「僕の心はキミへの想いだけだよ」
「そう言う事にしといてあげるわ♡」
「ありがとう」
アギトはブリス夫婦と別れたあと家に戻る。リビングに入ると何故かリリー、ジーナ、ミアが全裸で何かをしていた。4人の時が固まる。
「な、何やってんだ、お前ら?」
ミアが大きい声で叫ぶ。
「は、入って来るなーー!!」
「普通入るだろ! リビングで裸になってる方がおかしいだろう!」
「う、うるさい、出て行けーー!!」
アギトは追い出されたので、ついでに村の周辺を馬で駆ける事にした。
「だいぶ上手く乗れるようになったな」
そこで小さい湖を見つけると、のんびりする事にした。
~女性達の視点~
ジーナ。
「ミア、私達も裸になるわよ」
「なんで?」
「リリーちゃんだけ裸は可哀想でしょう?」
「う~ん、分かったよ」
リリーナは申し訳なさそうにミアに謝る。
「ごめんなさい、ミアさん」
「別にいいよ。ボクもリリーの立場ならやっぱり恥ずかしいから。これで一緒だよ」
2人とも全裸になりリリーナの身体を調べようとした時、部屋に誰かが入って来た。勿論、勝手に入って来れる人物はアギトしかいない。
「な、何やってんだ、お前ら?」
4人の時が固まる。恥ずかしさの余りミアは大きな声でアギトを怒鳴りつけ家から追い出す。アギトが出て行ったあと、ミアは少し可哀想かなと思いなおす。
「確かにリビングで全裸にならないよな。アギトには悪い事したな」
「謝るのはあとにしなさい。それよりリリーちゃんよ。早く調べて服をきましょ」
「分かったよ、姉さん」
2人はリリーナの身体を隅々まで調べたが、全くわからない。
「姉さん、これ以上はもう無理だよ」
「そうね、何もないわね。汗かいたし一度お風呂に入りましょう。何とか3人は入れるわね」
「ボクが先に身体洗うから、2人はゆっくり湯船に浸かててよ」
3人は浴室に向かうと、先にジーナとリリーが湯船に浸かる。
ジーナ。
「それにしてもブルーノ様はリリーちゃんの身体にどんな細工をしたのかしら?」
「すみません。私の為にご迷惑かけて」
ミア。
「リリーは悪くないよ。先代のブルーノ様が悪いんだよ。さて今度はボクが湯船に入るよ。次は誰が洗う?」
少しのぼせかけたリリーナが手を上げる。
「ジーナさん、先にいいですか?」
「いいわよ。先にリリーちゃんが洗って」
そう言うとリリーはミアと交代する。その時ジーナとミアはリリーナの身体のある部分を見つめる。
ジーナが声をあげた。
「こ、これが…まさか…そう言う事だったのね。これじゃ誰も分からないはずよ。こんな仕掛けだったなんて」
「姉さん、これは……」
ミアの口を塞ぐジーナ。
「アギト君が帰って来るまでは口にしてはだめよ、ミア」
「分かった。しかし、こんな……」
「分かったんですか、私の……」
「リリーちゃん、あとでお話しましょ」
3人は風呂から出るとアギトの帰りを待った。
~身体の秘密~
夕方アギトが帰って来ると、まずミアがアギトに謝り、今度はアギトが謝った。そのあとリリーナが再び風呂に入る。
不思議に思うアギト。
「リリーはなんでこんな時間に風呂に入るんだ? もう寝るのか?」
小声でジーナがアギトに話しかける。
「アギト君、リリーちゃんの身体の秘密が分かったの」
「やっと分かったのか、やったな! しかし家の中なのに、小声で話さないといけないのか?」
「念の為よ」
「まぁ、いいか。その秘密は風呂に関係があるのか?」
「えぇ、もうすぐ分かるわ。じゃ、そろそろ行きましょうか」
ジーナとミアはアギトを連れ浴室に移動する。そこにはバスタオルを巻いただけのリリーナが後ろ向きに立っていた。彼女は恥ずかしいのか両手で顔を隠している。
ジーナ。
「いい、アギト君。リリーちゃんのバスタオルを外すわよ」
ジーナはリリーナのバスタオルに手をかけると、タオルは音をたてずに落ちていく。アギトの目の前にはピンク色に染まったリリーナの裸体があった。その見事なプロポーションに見惚(みと)れるアギト。高鳴る鼓動をリリーナ達に悟られないように、彼女の背中を見る。そこには地図が浮き上がっていた。
アギト。
「背中に? でも風呂に入る事で…そうか、体温の上昇か!」
「そう。昼間見た時は背中には何もなかったの。けどお風呂に一緒に入った時に偶然見つけたの」
「確かに、これじゃ分からないな。しかも背中は自分では見れない。でも子供の頃なら親と一緒に風呂に入るから分かるだろ?」
「これは私の推測だけど、例えば10才とか、15才になったら現れるんじゃないかしら?」
「年齢か? ありうるな」
そこで全裸のリリーナが話しかけてきた。
「もうバスタオルを巻いてもいいですか?」
アギトはリリーナの地図を詳しく見てないので、彼女の意見を却下した。
「もう少しそのままでいてくれ。地図を観るまでの間、我慢してくれ」
「恥ずかしいので、早くお願いします」
「分かった、ゴメンなリリー」
「い、いえ」
アギトは背中の地図を観ているとある事に気が付いた。
「アギト君も気が付いたわね。そうなのよ。地図は途中できれているの」
「まさかここまで行って、そこでまた背中の地図を見るのか?」
「多分そうだと思う」
アギトはリリーナの腰のくびれから首筋まで、浮き上がった地図の道に沿って指をゆっくりとはわす。リリーの口から熱い吐息が漏れる。
「あっ♡ に、兄様! もう許して!」
「あぁ、す、すまん」
アギトを冷めた目で見ていたミアが口を挟む。
「アギト、わざとだよな? 何で毎回、指をはわすんだ?」
「これは癖だな。すまない。これからは気をつける。リリー、もう服を着ていいぞ。ありがとうな」
ミアは納得してない様子だったが、何とか分かってくれた。しかし、俺を見る目は剣先よりも鋭く氷よりも冷たかったな。
アギト達は一度リビングに戻る。
「これで何とか道筋はついたな。あとは誰が行くかだな。大勢で行くのはまずいだろうな。そうなるとスタンリーの軍とか警備隊で行く事は無理だな。俺とリリーは絶対に必要だが、それ以外となるとジーナさんのお爺さんのコネリーさんだったか? 応援を頼むしかないな」
「アギト君、少し待って。実はお爺様になん通か手紙を出してるの。その返事が来るまでは待って」
「手紙を出していたのは知っていたが、てっきり両親への手紙かと思ってた。お爺さんのコネリーさんか。確かに色々と融通は効くな」
「これでリリーちゃんの秘密はわかったわ」
ホッとするリリーナ。
「良かった。これで解放されるんですね」
「ええ、リリーちゃんに関しては終わりよ」
それまで話に参加してなかったミアがジーナに話しかける。
「姉さん夕飯にしようよ。ボクお腹すいた」
「そうね。食事をすませたら今度はアギト君に聞きたい事があるの? いい、アギト君?」
「あぁ、別にいいよ」
その後、ジーナとリリーナが夕飯を作り、アギトとミアはいつも通りソファーでくつろぐ。アギトは食事を終えると、ジーナからある質問を受ける事になった。
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