第3話 オンライン対戦、そして練習へ……

 オンライン対戦に向かった私がまず味わったのは、敗北である。

 最初の数戦はかなり入り乱れていた。

 私と同じように、初心者の人がやっていたのもいたが、経験者らしき人にも結構当たったのである。

 当然、経験者の方には勝てなかった。

 まったく勝てなかった。

 

 そこで、私はオンライン対戦から抜けて、出せなかったコマンドを練習するためにトレーニングモードに戻ったのだ。

 このコマンドを出して、勝てなかった人に勝つ。

 そう思い、練習した。


 そして、苦労をしながらバングのコマンドは全て出せるようになった。

 コマンドを出せて満足した私は、再びオンライン対戦に向かった。

 二回目の挑戦では、負けは多いものの、ほんの少しだけだが勝率が上がった。

 

 そうやって、対戦をしている内にふと思った。

 皆、コンボはどう探っているのだろう?

 そこが気になったのだ。 

 

 当時、BLAZBLUEにはチャレンジモードはなかった。(次作品ではチャレンジモードがあり、基本コンボやネタコンボも覚えることができる)

 なので、基本は自分で探すことになるのだ。

 

 しかし、私はまだ始めてからそんなに経験が経っていない初心者である。

 自分で探すにも限界はすぐに来てしまう。

 そこで、私はあるものを探すようになった。

 

 コンボ動画である。

 様々な猛者達が自分で見つけて、動画で作っているのである。

 様々なコンボ動画を見て、自分にも使えそうなものは無いかと探っていた。

 そして、立ち回りを覚えるためにも対戦動画も見た。

 

 初心者の私にとっては全ての動画がありがたかった。

 皆が技術を教えてくれてる動画があり、私はそれを見よう見まねにして練習した。

 

 練習してしばらくしてから、またオンライン対戦に向かった。

 少し強くなった自分を見せるために……。


 番外編


 オンライン対戦で印象に残った試合をここで書いていこうと思う。

 最初の数戦の時の試合で、この試合の対戦内容だけは非常に印象に残っている。

 私はバングを選んでいて、相手もバングを選んでいる。

 

 同キャラ戦である。 私にとっては初の同キャラ戦である。

 相手の動きを参考にしようと、試合に臨んだ。

 実力は相手の方が少し上ではあったが、なんとかラウンドを取り、最終ラウンドまでもつれ込んだ。

 

 最終ラウンドが始まった瞬間、相手のバングはDボタンを振っていた。

 私のバングはバックステップして距離を離していたので、相手の攻撃は空振りで終わる。

 しかし、相手は関係なしにDボタンを振っている。

 そこで、私は気付いた。

 そうか、で勝負をしようというのだな!

 

 私のバングは相手に猛ダッシュしていき、相手のDボタンの攻撃に当たりに行ったのだ。

 すると、下のゲージの近くに〈風〉という文字が出たのである。

 この文字はバングの特殊技で、Dボタンをヒットさせるごとに、〈風〉〈林〉〈火〉〈山〉という文字がゲージの近くに出てくるのだ。 (今のBLAZBLUEでは少し仕様が変わっている。 当時はDボタンなら何でもOKだった)

 相手はDボタンで文字を集め終わった後、次は君の番だよと言わんばかりに前進してくる。

 私も、Dボタンを振って相手と同じように風林火山の文字を集め、お互いに準備は完了した。 その準備とは二人揃ってある技を出すためである……。


「獅子神忍法・究極奥義! 萬駆風林火山!!」

 相手のコマンドが完成し、バングが黄金色に輝き、専用BGMが鳴り出した。

 私も負けじと、ほぼ同じタイミングで同じ技を出した。

 

 この風林火山と言うのは、いわばバングの能力強化である。 特徴として、バングの色が光り輝き、移動は全て高速移動に変わる。 そして、その技を出すと専用BGMが鳴るおまけ付きだ。

 

 そして、お互いが高速移動で技を出し合いながら戦闘していく。 まるでどこぞのバトルアニメを見ている感覚である。 移動や技を出すたびに聞こえるバングの声、熱いBGM。

 思ったことが、

「非常にうるさい。 うん、すごくうるさい」

 私は笑いを堪えながら戦闘した。

 正直、笑いを堪えるのに精一杯だったので、勝敗はしっかり覚えていない。

 あれは本当に面白かった。 まさにノリのいい対戦相手であった。   

 

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