第5話 硝子の瞳

全ての感情を捨て去り、現実を直視することを否定した硝子の瞳。

自然=大地と決別した、閉ざされた都会の中で、

人は何も信じられなくなったとき、どうすればよいのだろうか。

人は信じるべき者、愛すべき者を失い、もしくは見失ったとき、どうすればよいのだろうか。

全てから見放され、拠り所は血の通わぬ冷たい人工物の影のみ。それは弱い人の精神こころを絶望の淵-------“死”へと追い詰めてゆく瞬間。

死すべきか?

それとも殺すべきか、或いは?


愛しさはいつしか狂気に変わる。

“愛している”時に言葉は何よりも鋭く危険な凶器へとかわる。

人に優しい、そして満ち足りた想いを与える、そのような美しい言葉であっても。


言葉が風になる-------。

乾いた空を一陣の風が吹き抜けてゆく。


時がまた、動き出す。

雑踏。

都会のざわめきが聞こえてくる。

硝子の瞳は何を映すのか。

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