─5─

「もう、そろそろだよね?」

「……だね」


 次の日のお昼休み。

 わたしは真中と一緒に、スマホに映し出される『アストガルド・ファンタジー』のホーム画面を眺め、互いに確かめ合っていた。


 ホーム画面では、今、ログイン制限が掛けられ、ワールドリセット開始までのカウントダウンが行われている。


「つか……もう間もなく終わるね、アリス」

「……ぅん。そうだね…」

「よっ! アリスに眞那夏、お前ら相変わらず仲がいいな♪」

「……えぇ、まったく。思わず焼き餅をしてしまうほどなので、参りますよ…」


 またいつもの様に、草川三雲と柊一が遅れてやってきた。


「つか。そんなことよりも2人とも、コレみてみ! もう直ぐだよ!!」

「あ……ワールドリセットか?」

「確かに、もぅ直ぐみたいですね……?」

「……ぅん」


 そして遂に……カウントダウン、秒読み開始!


「「「……5……4……3……2……1……0!!」」」


 そのタイミングで眞那夏がスマホをタップし更新すると、『只今、ワールドリセット作業中です』という表示に変わる。


「……本当に終わっちゃったね?」

「ぅん。終わった……何だか寂しいけど」


 わたしと眞那夏は互いに顔を見合わせ、軽くため息をつき肩をすくめる。

 すると三雲と柊一が顔を見合わせ、口を開いてきた。


「いや……そうじゃないよ、アリスに眞那夏」

「えぇ……そうですね」

「「……??」」

 2人がそういう変なことを言ってくるので、わたしと眞那夏は不思議に思い互いに顔を見合わせ、それからそんな2人を改めて見つめ聞いた。


「それ、どういう意味?」

「うん。三雲に柊一、言ってる意味わかんないよ」

「いや、だからさ。これは終わったんじゃなくて……」

「これからまた、始まるんですよ……。

新たな仲間たちと繰り広げる、壮大な《アストガルド・ファンタジー》の世界がね!」

「「──!!」」


 ……言われみて、初めて色々と気づくことがある。


 後ろばかり見ていた、自分が居たこと。


 過去の楽しい日々に執着していた、自分が居たこと。


 そして、これから始まる新たな世界と、これまでと変わるかも知れない何かに怯える、自分自身が居たことを……。


 でも、そうだよね?

 後ろばかり振り返っていても、仕方がない。今を生きて、これから新たに始まる出逢いと、ニューワールドを楽しむ!

 今は、それで良い。それしかないよね?


「何にしても、あと3日後だな?」

「えぇ……その間は落ち着かないと思いますが、期待しててください♪」

「だね!」

「うん、そうする!」


 そう、あと3日……金曜日の夜に、全ての結果がわかる。

 それまでは期待して、楽しみながら待つことにしよう!



 わたしはそう決め、期待で胸を膨らませ、空を見上げた──。


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