─2─

「はぁ~……それにしてもさ、あれはないよねぇー?」

「あはは♪ まぁ仕方ないよ、アリス!」


 月曜日のお昼休み。

 いつものように学校の屋上で眞那夏と2人、大決戦のことを話し談笑していた。

 

 そこへ、草川三雲と柊一が笑顔でやってくる。


「よっ! アリスに眞那夏、元気かぁ?」

「ハハ! その様子から言って、心配はなさそうですね?」

「うん! 最後はちょっと残念だったけど、でも凄く楽しかったからね!!」

「つか。とか言ってるけど、アリス昨日会った時には、今にも泣きそうな顔していたよね?」


 うわ! それを今、ここで言っちゃうかなぁ……?

 わたしは困り顔にも苦笑い、そんな眞那夏に向けた。それから軽く肩をすくめ、口を開く。


「だってさぁ~、もぅこれで終わりなのかと思うとなんだか寂しくて……」

「うん、気持ちは凄く分かるよ!! 私もそうだし」

「まぁな……明日、行われるワールドリセットで結局どうなるのか、正直なところ蓋をあけてみないことには誰にも分からないのが現実だからなぁ……」

「ですが、可能性を信じて、今も仲間達が各陣営の様子を調べ。次のワールドでどこを選んでいるのかなどを集計し、判断している所ですから。そんな彼らの為にも、期待くらいしてくれると助かります」

「うん! もちろん、期待してる!!」

「つか。今は凄く、神様を信じたい気分だよね? アリス」


 眞那夏の言葉を聞いて、最初は驚いたけど。わたしは間もなく満面の笑みで、こう答えた。


「だね!!」


 それは、三雲も柊一も同じ気持ちだったみたい。互いに笑顔を向け、力強く頷いてくれていた。


 だけどわたしは……これはきっと、必要のないことだとは思うんだけど。それでも何か切なく不安だったから、確かめたくて……元気なく俯き。でも、作り笑いを浮かべ。3人をそっと見つめながら、口を開いた。


「あのさ、これはあくまでももしもの話だよ? 

もしもさ……所属勢力がみんな違っていたとしても……それでも、それでもさ……今までみたいに、こうして楽しく3人で居られると、わたし……凄く嬉しい。

もちろん、迷惑でなければ、なんだけどね?」


 わたしが最後辺り困り顔でそう言うと、眞那夏たち3人は軽く笑い合いながら言った。


「ばぁ~か、そんなの当たり前の話だろ?」

「そんな心配なんか要らないよ、アリス♪」

「ええ、全くです。他の2人が離れたとしても、この僕だけはアリスの傍から決して離れたりはしません」


 最後に言った柊一の言葉を聞いて、眞那夏と三雲の2人は、そんな柊一をキッと睨んで、「なんだよ、それ! お前な、1人だけ抜け駆けするつもりかぁ?」「つか、私がアリスに、そんなことする筈がないでしょ!!」と言った。


 わたしはそんな3人を嬉しく思い見つめ回し、思わず微笑みながらどうしてなのか自分でも分からなかったけれど、目から自然と涙が溢れ、それを拭い誤魔化しながら元気いっぱいの笑顔で言った。


「ずっと……ずっとさ。これからもずぅーっと! 一緒に、こうして居ようね!!」


 その時に眞那夏たち3人が見せてくれた満面の笑顔を受け、わたしはきっと生涯この光景を忘れることはない、そう心に誓った。


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