─4─
「つか……それで結局、パーティー編成はどうなるの?」
「あ、それについてはわたしにもまだよく分からなくて……だけど、
月曜の昼休み、いつものように学校の屋上で眞那夏と一緒にお昼しながら、昨日あったことを全て話したのだ。
間もなく、草川三雲と柊一もやって来た。
「柊一、わたし真中と一緒のパーティーじゃなきゃ絶対ヤだよ!」
わたしは眞那夏に真剣な表情をして抱き付き、そう言った。
眞那夏は、そんなわたしの頭を「うん、可愛い♪」そう言ってニコニコと優しげに撫でてくれる。それでわたしはつい嬉しくなり、ゴロにゃん♪と眞那夏のやわらかな胸に甘えた。
「は、ハハ……。それは分かってますよ、アリス。前回我慢してもらいましたからね?
取り敢えず、ネトゲ最高さんが今回は抜けてくれることに決まりました」
「ただな……問題は、またカテリナなんだよ」
カテリナさん……? なんで??
「今回も、アリスと同じパーティーが良い、と言って来てましてね。それでどうしたものかと……」
「あの……でも、貸し借りは前回ので、もう終わったんだよね? なのに、どうしてカテリナさん??」
「まぁ、そうなんだけど……。アイツも、モノの道理の通じないタイプだからなぁ~…」
「随分、大変みたい……そう言えば、もう1人の餓狼狩りさんの方は?」
眞那夏が気にして、そう聞いていた。
そう言えば、もう1人、問題児が居たっけ??
そう思っていると、柊一が困り顔を浮かべ、口を開いてきた。
「彼については……実は先日、ギルド規約違反が発覚しましてね。そこへ行き着くまでには、色々と経緯はあつたのですが……結果として、『除名処分』にしたんです」
──じょ、除名処分ッ!!?
わたしと眞那夏は驚き、互いに顔を見合わせた。
そんなわたし達の様子を見て、三雲が軽くため息をつき口を開く。
「まぁ、待てよ。ちゃんと中身についても言っとかないと、余計な誤解を産むだけだぞ?
実はな。一応、本人にもそれなりの言い分があるかもしれないってことで、緊急会合を開きギルドチャットで話し合ってはどうかと本人に確認したんだけど、アイツ途中から開き直りやがってさ。罵詈雑言を吐いた挙げ句に、PKなんかやり始めたから仕方なく即・除名処分にしたんだ、昨晩な。
因みに切ったのは、このオレ……」
そ、それはまた……。
「お陰で欠員枠が一つ空いたので、急遽ギルド員の勧誘を行っていますが。今からだと、なかなか難しいでしょうね?」
「だろうなぁ……」
「……」
どうも……わたしの知らないところで、随分と大変な人間模様が繰り広げられていたようで……。2人とも、ゲッソリ疲れた様子を見せている。
いつもこの2人には我が儘なことばかり言って困らせていた自分に、なんとなく反省な気分……。
わたしは、柊一と三雲を見つめ、真剣な表情をして口を開いた。
「あ、あのさ……何か悩み事とか愚痴とかあったら、聞くことくらいなら、このわたしにも出来るかな?と思うので、いつでもいいから吐いてよ。遠慮なんか要らないからね!
だってさ、仲間なんだし、大切な友達なんだから!!」
「あ、私も愚痴くらいならアリスと同じで、聞くくらいなら出来ると思う!」
「「……」」
三雲と柊一は、わたしと眞那夏の言葉を聞いてお互いに顔を合わせ、それから何故かいきなり吹き出し笑い出している。
あれ? え??
わたしたちなにか変なこと、いま言ったかなぁ??
「ばぁ~か、オレ達なら大丈夫だよ」
「まったくです。心配は要りませんよ。
でも何かあったら、これからは直ぐにアリスと眞那夏にも相談させて貰うことにしますね?」
「……」
今のってさ、『感謝してる』『でも、大丈夫だから』ってことなのかな??
わたしはそう解釈し、隣の眞那夏を見つめた。
眞那夏もきっとわたしと同じように理解したのか、満足そうな表情をみせている。それを見て、わたしも眞那夏に合わせ、笑顔を向ける。
でも、だからこそ、わたしはこのところ余計に寂しさを感じてしまうことがたまにある……。
明後日、A・Fの大型メンテナンスに合わせ、運営より重大な告知が発表されるのだという。それはきっと、ワールドリセットについてのことだろうと既に噂されていた。
でも……わたし、出来ることならこのままずっと、同じギルドの中に居たい。みんなと別れたくない。そう強く思い、願っていた。
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