ー6ー

「て、訳で! 今回、我々は出来るだけ多くの城を攻略するだにゃん。

守る必要はにゃい。取られたら、取られた以上に取り返せばそれでよしだに! 

但し、炎のエレメント・女神イルオナが居る城だけは守るにょ。

“オレの女”だからにゃ♪」


 途端、メンバー全員が爆笑する。


 実際のところ、女神イルオナの城を支配していることで、火+炎属性の恩恵が得られるからというのが本当の理由だった。


「今回は従属ギルドの《ファルメシにゃん♪》《タルタルソースは美味いでちゅ》 連盟ギルドの《黒騎士団》が仲間として加わってくれるだに。

パーティー編成については、昨日決めた通りで、配置も予定通りで行くのでぇよ、とにかく頑張って褒賞を得ようにゃん!」



「「「にゃにゃん!」」」



 GMのねこパンチさんの説明とかけ声に合わせ、ギルドメンバー全員は一斉に声を上げ、わいわいと談笑し、決戦開始時間をソワソワと待つ。


 そうして間もなく、頭上に《会戦開始まで、残り5分》と表示された。

 と、同時に。『決戦参加メンバーリストに、あなたは登録されています。今すぐに戦場へ移動しますか?』というアナウンス案内があった。


 わたしは当然、コクリと頷く。

 すると、グレゴリアの街から一気に、場面は決戦場へと暗転移動する。


 

 ここは6大城の一つ、炎のエレメントを守護する女神イルオナが居る城。今やわたし達ギルドの拠点だ。

 彼女は相変わらずの冷徹な微笑みを浮かべ、そこに佇んでいる。しかしその姿は、ゾクリとするほどの艶美な美しさ。


 城内にはわたし以外にもギルドメンバーが次々と光を放ちながら姿を現しては降り立ち、パーティー編成を随時始めていた。

 わたしも予定通り、アルトさんや他4名のギルドメンバーと編成し声を掛け合う。



 〈剣聖〉アルトさん、〈聖騎士〉ランズさん、〈姫騎士〉マーナ……これは、友人の眞那夏 〈大魔道師〉ネトゲ最高さん、〈神官戦士〉ぶっちゲロゲロさん、〈召還術士〉アリスでございありんす……あ、これはわたしね?



「足手まといになるかも知れませんが、皆さんよろしくお願いします」

「はは! 逆、ぎゃくw 今回もお世話になるよ」

 

 わたしにそう優しく言ってくれたのは、アルトさんだ。とてもいい人なので、わたしは彼のことが何となく大好き。本人には、勇気がなくてとても言えないけどね……。


 今は会話が混線しない様、パーティー内実声ボイスチャットで会話をしている。基本的にゲーム内はボイスチャットなので、耳と口だけあれば良い。


 他にもワールドチャットや、ギルド内チャットが文字のみだけど、自動変換され、わたしの左手に半透明化した状態で流れている。

 もちろん、必要に応じそれを指先でタップさえすれば、いつでも簡単に切り替えは可能。


 今は、物凄いペースで流れる文字情報をこうやって眺めているだけなんだけど。そうした情報も案外重要なので、チラチラと眺め確認しながらの行動となる。



 そうして、いよいよ《決戦》開始の合図と共に、皆一斉に各城へと向かい走り出した――!

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