第一章 君はもし私が死ぬって言ったらどんな顔をするのかな

 また新しい日が次々と過ぎ、今日フルートの発表の日。

 翔は来てくれた。それだけでも、私はすごく心のえになった。

 

 演奏が終わってから、私は翔に呼び出された。

「今日、フルート吹くのすごく楽しそうだったね。」

「うん!だって翔が約束通り、来てくれたから。」


「来週、フルートの発表のほうがあるんだけど、翔も来ない?」

「他には?」

「他?今のところ翔だけだけど。」

「じゃあ行く。」

「結局来るんだ。」

「俺、その日にお前に伝えることがあるから。」

「う、うん.......」


「そういえば、あの時言ってた伝えることって?」

「......」

「翔??」

「あ、うん。」

「?」

「俺さ、フランスに行くんだ。」

「え......」

「フランスに住んでる、お母さんの親戚が介護がいるみたいで、家族でフランスに行くんだ。」

「い、いつ?」

「明後日。」

「明後日って......」

 私はこのとき、何もいえなかった。さみしいも、がんばっても、何もいえなかった。ただ立っているしか......。

 そのとき、目から涙が流れてきた。

「え、!?」

 驚いた翔は、また口を開いた。

「それで、フランスに行く前に叶音に伝えたいことがある。」

「な、なに?」

「俺、叶音が、好きだ。付き合ってください。」

 私はその言葉に、体が震えた。泣きながらも、

「は、はい。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る