第29話「文化祭のプレゼント」

 魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。

 彼女は夏休みにプールへと向かうのだが、そこにスペードのKが現れる。

 彼女は伊賀啓介と共にそれと戦い、隙を突いて打ち倒すのだった。

 そして夏休みも終わり、9月の中旬。

 克美達は文化祭に向けて準備をしていたが、その日の朝は準備が無かった。

「克美、もしかしてシャンプー変えた?」

 彼女は飯塚琴美にこういわれ、思わずこう返す。

「僕がシャンプーを変えるわけないよ」

「この香り、私が使ってるのと同じよ。もしかして彼氏のために変えたんじゃないかな?」

「そ、そんなことは……」

 克美は顔はおろか、耳まで赤くなっていた。

「恋は女を変えるっていうけど、あなたもそうなるなんてね」

「怜央はただの友達だよ。それ以上でも以下でもない」

「昨日の帰り道カフェから楽しそうに出てたのは誰かしら?」

「見てたの!?」

「彼に結構気を許してるわよね。私の前であんな顔はしてなかったのに」

「だからどうしたってんだよ!」

 克美は琴美にそう言い返すしかなかった。

「ところで、文化祭何か渡すのか?」

 そういったのは啓介だった。

「そういや文化祭には男女でプレゼントを渡す習慣があったけど……」

 克美がそう返すのを見て、琴美はこういう。

「彼だって、あなたからプレゼント貰えればすごく嬉しいと思うわ」

「それもそうかもしれないけど、何を渡せばいいんだか」

「まあ、お金も掛からないしお菓子を渡すのが慣例よ」

「分かった。なら僕は作れるよ」

「ここは買ってあげた方がいいと思うわ。さすがに手作りは早くないかしら」

「そうだね。文化祭は明日だし、放課後買いに行こうか」

 そして放課後、準備も終わり克美は琴美に連れられコンビニへと向かう。

「どれがいいんだ?」

「チョコはバレンタインだし、ここはロールケーキかシュークリームね。プリンはスプーンがいるし」

「なら、ロールケーキじゃないかな?シュークリームって案外食べにくいから」

「気が効くのね。やっぱり、恋してるからかな」

「それはお約束だよ……」

 そして克美はレジへと向かう。

「195円です」

「はい」

 彼女は200円を出し、5円のおつりを貰った。

 そしてコンビニから出ようとすると、そこに啓介が現れる。

「大変だ。とうとうスペードのAが出たんだ!」

「スペードのトランプ兵の中でも最強の相手……僕の心が変わっていても負けるわけにはいかないよ!」

 そうして克美は啓介と共にスペードのAが待ち受ける公園へと向かう。

「頑張ってね、克美」

 琴美はそういって彼女達を見送るのだった。

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