第26話「相反する心」

 魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。

 そんな彼女は古垣怜央と賭け麻雀、もとい賭けゲームをしたのだが負けてしまう。

 そして彼女はデートを終えてバスに乗り込む。

 その日は何事もなかったかのように過ぎていくのだったが、その翌日。

「昨日から何か雰囲気が変わったような気がするわよ」

 そういったのは飯塚琴美だった。

「そうかな?」

 すると伊賀啓介にこういわれる。

「服装も前より整ってるしな」

「もしかして、昨日誰かと会った?」

 琴美にそう問いただされてしまっては、克美もしらばっくれることができなかった。

「昨日、怜央と賭けに負けたからデートしたんだ」

「飲み物口に含んでたら吹くレベルよ、それ」

「仕方ないよね、琴美?賭けは賭けなんだし」

「まあ、それなら仕方ないかもだけど」

 そこに大原佑輔が割り込んでくる。

「それよりも今日は道頓堀だ。せっかくだし食べ歩こう」

 そして道頓堀で食べ歩きをし終わると、一人の青年が現れる。

「あれはスペードのJに似ているな」

「啓介達が食べ終わるまで待っていたというわけ?」

「琴美の予想は当たってると思うよ。トランプ兵は律儀だし」

 すると、青年がこういう。

「いかにも、私はスペードのQ。戦えない奴は引っ込むんだな」

「いわれなくてもそうするわ。とりあえず、集合場所で会おう!」

 スペードのQの言葉に従い、琴美はそういって佑輔を連れて逃げていった。

「わざわざ逃がすなんて結構律儀だね」

「世界の守護者を相手に策を使うは愚かだろう。そして私の武器は両手斧。パワーなら負けない」

「行くぞ、克美」

「分かってる。僕の気持ちがどうあろうとトランプ兵に負けたら意味は無い!」

「その意気だ」

「「マジカル、オンステージ!」」

 すると二人は光に包まれる。

 克美にはまずガラスの靴が履かされ、啓介には金で柄を装飾された剣が持たされる。

 そして光が衣服へと変化する。

 克美の衣装はシンデレラらしく、青いお姫様らしいドレスへと変化していく。

 啓介の衣装は王子様らしく、ファンタジックな衣服へと変化していく。

 そして光が収まると、二人はダンスを踊るように動いた後でこういう。

「「異世界より現れし尖兵よ」」

 まず克美がこういう。

「シンデレラに与えられし力を」

 そして啓介がこういう。

「姫を守りし王子の力を」

 二人は再び息を合わせてこういう。

「「恐れぬのなら絆の剣を見よ!」」

 そして啓介はこういう。

「さあ行くぞ、スペードのQ!」

「僕らの絆は変わらないってこと、証明してみせるよ!」

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