第21話「スペードのJ」

 魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。

 そんな彼女は京都へと向かうバスの中でスペードのJと出会う。

 清水寺の観光を終えた彼女は伊賀啓介と共にスペードのJと対峙するのだった。

「絵札のトランプ兵。油断できない相手だね、啓介」

「そうだな。行こう!」

 そして二人は同時にこういった。

「「マジカル、オンステージ!」」

 すると二人は光に包まれる。

 克美にはまずガラスの靴が履かされ、啓介には金で柄を装飾された剣が持たされる。

 そして光が衣服へと変化する。

 克美の衣装はシンデレラらしく、青いお姫様らしいドレスへと変化していく。

 啓介の衣装は王子様らしく、ファンタジックな衣服へと変化していく。

 そして光が収まると、二人はダンスを踊るように動いた後でこういう。

「「異世界より現れし尖兵よ」」

 まず克美がこういう。

「シンデレラに与えられし力を」

 そして啓介がこういう。

「姫を守りし王子の力を」

 二人は再び息を合わせてこういう。

「「恐れぬのなら絆の剣を見よ!」」

 それを見たスペードのJはこういう。

「鎖付きのハンマーを舐めるなよ!」

「気をつけて、あんなの食らったら最悪死ぬよ!」

 克美の警告に対し啓介はこういう。

「パワーは高いが当たらなきゃどうってことない!」

「それはどうかな?」

「鎖が巻き付いて来る!パワーだけじゃ……ない!」

 啓介は鎖に胴体を巻きつかれて身体を崩される。

「モーニングスターの本命が当たる前に鎖を掴むしかない!」

 克美は鎖を掴もうとするが、

その前にハンマーは上へと振り上げられる。

 慣性の法則のせいでそれだと啓介に当てることはできないが、

そうすれば鎖を掴まれる心配はない。

「どうにかして隙を作るしかない!けど、どうすれば……」

 克美も頭を働かせようとするが案が思い浮かばない。

「待てよ。あいつは止まってるバスや車に、攻撃が当たらないようにしてる!」

「でも、そこに逃げたって真の勝利とはいえないわ」

「違う。角度だ。あいつのモーニングスターは鎖付きだ。角度次第で周りにダメージを与える」

「さっき慣性の法則のせいで啓介を攻撃できなかったのと同じ理屈ね」

「そういうことだ。ゆえに、あいつから見て左30度にモーニングスターはかませない!」

 そういって啓介はスペードのJの懐へと入り、それを切り裂いた。

「何故よけようとしなかったの?絵札のトランプ兵のあなたなら、体勢を変えるくらいわけなかったよね?」

「私の弱点を見抜いた者への敬意だ。私が死んでもまだスペードの絵札は残っているからな」

 そういってスペードのJは倒れたのだった。

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