第20話「清水寺にて」
魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。
そんな彼女がクラスメイトと共に修学旅行へ向かうべくバスに乗ると、
そこには引率に成り代わりスペードのJが乗り込んでいた。
「京都、京都です。まずは金閣寺ですが、この寺は一度放火で焼けています」
そういったのはバスの運転手であった。
「金閣寺には入らないんだな。清水寺には行くみたいだが」
そういったのは伊賀啓介だった。
「ネットで調べたんだけど、京都市街が一番近いのは清水寺なんだよね」
「克巳のいうとおりだけど、ここには駐車場もあるからね」
そういったのは飯塚琴美だった。
「霊山歴史館もあるし、修学旅行にはもってこいってやつだ」
「それは啓介じゃなくて、先生がいった方がいいんじゃないかな?」
ともかく、克美達は清水寺に向かっていた。
清水寺に付いたら班ごとの行動だが、克美は啓介や琴美、そして大原佑輔と同じ班だった。
「ここが清水寺なんだね……」
「地味といえば地味だが、歴史を感じさせる奥深さもある」
そこに佑輔が割って入る。
「克巳は清水の舞台から飛び降りなくていいのか?」
「そうすれば男に戻れる、とでもいいたいの?さすがに無茶だよ」
「冗談だって。今のお前は女の子なわけだし、そんな真似はさせれない」
そんな話をしていると、別の班がやってくるようだ。
「別のクラスかもしれないし、僕については内緒だよ」
その班には古垣怜央が居た。
「お前はあのゲーセンの?偶然だな」
「修学旅行だし、巡る場所は被るよね?」
「可愛げはないが、それもそうか。ともかく、俺達は先に行く」
怜央の班が去っていくと克美は啓介にこういわれる。
「知り合いか?」
「お互い、ゲーセンで一度会ったのが印象に残ってただけだよ」
そこに琴美が割り込みこういう。
「確かに元男だってことは気づかなくても、克巳はそれを差し引いて印象に残りそうね」
「こっちとしてはいい迷惑だが、Jは?」
「駐車場じゃないかな?」
それを聞いた啓介はこういう。
「痺れを切らすような奴じゃないが、自由時間が削れないよう早めに行った方がいいな」
「だね、僕たちも急ごう」
そうして、克美達も急ぎ足で清水寺を歩いていく。
そして彼女達が駐車場にたどり着くと、そこにはスペードのJが居た。
「代わりの引率も連れてきた。モーニングスターの使い手である私に、勝てると思うか?」
「みんなは逃げて。ここは僕と啓介の番だよ!」
克美の合図を受けて、琴美はこういう。
「わかったわ。佑輔と一緒に清水寺の入り口で待ってるから!」
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