第8章 ピーシーズの章 パートⅡ

アルキバ「カカカ、お嬢ちゃんには俺を操れねえよ。おい、そこの男。さっきの話考えてやってもいいぞ。それと引き換えにお前の探してる石も見つけてやるよ」

スピカ「ああ、わかった。取引成立だ」

ちょっと、何の話をしているの?

早く、この大ガラスを丘まで飛ばして!

プレア「精霊!もっと力を!!」

レグリー「ちょっと、プレア。一人で勝手に行動しちゃ……あらやだ。風の精霊!力を貸して」

複数に増えた竜巻は、レグリーの作り上げる竜巻も混ざり、大ガラスを中心に集まり大きな竜巻となって大ガラスを飲み込んだ。大ガラスはまるで風に身を任せるかのように、小高い丘へと連れ去られていった。

プレアとレグリーの活躍も有り、アルキバはキッドとカシミールが作った鳥カゴの中に入っていった。

当たりは既に暗くなり、キャンプファイアーを取り囲んで、大ガラスと対峙する。

アルキバ「カカカ、あんた達。ホントに面白いな。運命の石探し、手伝ってやるよ」

運命の石探しって?キッド君の双子のもう一人を一緒に探してくれるってこと?

そういえば、さっきスピカさんと大ガラスが何か会話していたわ。取引成立って、もしかして、私とママが使った風の精霊の力でここに連れてきたんじゃないのかな?

カシミール「あなたは何を知っているの?」

アルキバ「俺には誰が運命の石の所有者か分かるんだよ。ここに来る前にメリクっていうドラゴンにその力を宿されてな。メリクが欲しがってるのは木の刻印が刻まれた石さ。あんたらは皆不合格だ。だから俺にゃ関係がない石さ」

カシミール「運命の石の所有者。人も見つけられるの?」

アルキバ「ああ、粗方な」

カシミール「ジェミニ……ジェミニの石を持つ男を見つけて!」

アルキバ「カ~?なんで俺がお前の言うことを聞いてやらなきゃならねえんだよ」

カシミールの操る木の精霊の力で大ガラスの首根っこが締め付けられる。

キッドのお母さんって怒るとちょっと怖いのね。キッドも子供の頃、怒られて締め上げられたりしたのだろうか?まあ、そんなことはないかな。

カ、カ、カ……大ガラスは息をも絶え絶えにスピカを見つめる。

大ガラスとスピカさんの取引ってなんなのだろう?

レグリー「ダメよ。殺しちゃ。カシミール。カシミール??」

ママが少し取り乱してるなんて、キッドのママも相当ね。

スピカ「カシミールさん。私が大ガラスと話しを付けます。どうか落ち着いて、こいつと二人きりにしてください」

さっきの事もあったし、スピカと大ガラスを二人きりで会話させたくないわ。でも、ママになんて言おうかしら。

レグリー「いいわ。任せるわよ」

ちょっとママ~。もう、そうやっていつも勝手に決めて~。

プレア「ちょっと、待って!スピカと大ガラスを二人きりになんてできない。だって、さっきなんか取引成立とか話してたもん!」

スピカはバツが悪そうに苦笑いを浮かべた。

スピカ「別に隠し立てするつもりはなかったんだよ。確かにこいつと取引をした。それは俺が持っている、この運命の石についてだ。皆の事とは関係がない」

スピカは徐ろにヴァーゴの刻印が記された運命の石を見せた。

スピカ「こいつは俺にとってお守りみたいなものだった。金のなる木みたいなものだ。何か特別な精霊が操れるわけじゃない。というか、よくわからなかった。使い方がね。そしたら、こいつがこれが俺の運命の石じゃねえって言いやがってよ」

レグリー「わかったわ。そういうことね」

レグリーが突然間に入って話しを止めた。

ママ??何が分かったっていうの?もう!また勝手に話しを進めないで!

アルキバ「こいつの運命の石を頂く代わりに、一つだけ探し物を手伝ってやるよ」

アルキバの言葉で、スピカに視線が集まる。

カシミール「スピカさん。私達の為に、その石を手放していただけるのですか?」

スピカ「運命の石は手元になくっても生きていけるっていうんなら、手放すぐらい良いかと思うね。でもな。これが俺のじゃないっていうのが、まだ信じられないんだよ」

アルキバ「だろうな。お前のは特別に本物を見つけて渡してやるよ。俺の言ってることが正しかったことを証明するためにな。それ以外は聞かねえぞ」

カシミール「スピカさん。お願いします。ジェミニを見つけてください」

スピカが持っている運命の石を、ヴァーゴの石をアルキバに飲み込ませると、カシミールとキッドは鳥カゴを解いた。

アルキバは一声大声を上げると、周りを見つめ、そこに眠りについた。

アルキバ「夜が明けてからだ。鳥目じゃ空は飛べねえ」

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