ハウツーなくとも子は育つ
今回は少々真面目なお話を。
散々書いて来たが、私はADHDという、発達障害を持っている。
実は娘も持っている。
なので実は結構子育てが最初壮絶だった。
ADHDには衝動性多動と注意欠陥性多動があるのはご存じだろうか?
ものの本によると、衝動性はジャイアン、注意欠陥性はのび太で表すと分かりやすいそうだ。ちなみに私も娘も注意欠陥性のADHDである。
生まれてすぐから、視線がきょろきょろして見えてないのに定まらないわ、とにかく寝ないわ、暴れるわと大変だった娘に、振り回され当然の如く私は育児ノイローゼに陥った。
よくワイドショーなんかで、虐待する親は人間としてどうかみたいなことを言っている人が居るが、私は育児ノイローゼで虐待してしまった人の気持ちは分からなくも無い。
追い詰められると、人間本当に周りが見えなくなってしまうのもである。周りの景色が白黒に見えるぐらいにはね。
とはいえ我が儘で子供を殴るような馬鹿野郎は理解できない。
コミュ障で友達が極端に少ない私は、未婚で子供の居ない友人に『子育てが辛い』と相談した事がある。その時の答えは『でも母親だから、子供は可愛いでしょう? だから大丈夫!』といわれたのだ。
私はその時のショックを今でも忘れない。
「もう子供を可愛いと思えなくなっちゃったから相談してんだよ!」
と叫びたいのを必死に堪え、家に帰ってから号泣したことを覚えている。
実家から離れたところに嫁に行った私には、他に相談できる人もおらず、市の支援センターに相談しても同じ扱い。
そもそもこの国には、母親は子供を愛しているから、辛いなんて思わないよね?という押しつけが溢れている気がして仕方ない。
男は働いてるから、同じ父親でも我慢は免除だよ、みたいな?
しかも何故か、それを若い層の方が信じているのが不思議でしょうが無い。
コミケットの話になるが、子連れ参加は可か不可かという議論が、コミケットプレス上で展開された事がある。十年近く前だっただろうか。
私は基本的に子連れ参加は反対ではあるが、それでもコミケットに参加したい人だ。
だって、オタクで同人作家だから!
カクヨムに上げている小説を見ていただいても分かる通り、創作文芸系で流行り物には一切関係ない私だが、育児の息抜きにコミケを求めたい!
なのに、このような若い子の文章が載っていて再び衝撃を受けた。
「子供はすぐに大きくなるのに、自分の趣味ぐらい我慢できないのはおかしい。母親ならば子供が可愛ければコミケットを我慢できるはず」
……え……?
んじゃあ、父親はいいわけ? 母親だって行きたいよ? 育児大変だよ? 頑張ってるんだよ? なのに息抜きも駄目なの? 子供を預けるのも可哀相なの?
ぐるぐるぐるぐる。
うん、もう私駄目だ。
表現の自由を主張していいはずのコミケットでもこれで意見が統一か。
表現の自由って、エロ描写だけの話なのか……。
……私としては、とほほである。
となると、私が助けを求めたのは、現代主婦が大体辿るあのルート、ネットで情報集めである。
子供が結構大きくなった今だから言おう。
ネット上に溢れる子育て論のほとんどが、机上の空論であると!
何かの演説みたいになったが、心からそう思う。
特に私のような親子共々学習障害を持っている場合は、ネットの子育て論は自分を追い詰めるただの理想論だ。
あの通りにやろうとすると、自分が壊れる。
実際、壊れた。
うん、従兄の結婚式に出たはずなのに、化粧も出来ておらず、ストッキングも忘れて、服もまともじゃ無かったらしいが、それも記憶も無いぐらいには。
離乳食を食べさせるのに、必ず5分は座らせなければ成りません
……多動なので1分座っていられません。子育て論通りに5分座らせるために縛り付けてやろうかとしてしまいました。
テレビを見せず、いつも目を見て相手をしてあげなければ成りません。
……自分の時間がもてず、苛々して最期は号泣(私が)
虐待はしたくないので、自分が壊れていくだけだ。
そのほかにも理想論が無茶苦茶書かれてる。
しかもアニメを見せてはいけないらしい!
アンパンマンなんて見せたら、他人を殴る子になりますって……
うぉい!!
そしてこう締めくくられるのだ。
大変かもしれないけれど、可愛い子供のためなら出来るはずです。自分を甘やかせてはいけません。
そうかそうか……って、できるかボケェっ!
まあ、こうなるわけだ。
切れる前に、一度は壊れたが。
でもね、核家族でしょ今。
しかも子供に迷惑かけたくない、親に迷惑かけたくないってネット情報に支配されている人は結構居るわけだ。
しかも育児の悩みなんかネットに上げてみ?
炎上するほど大騒ぎよ?
子供が可愛くないのか的な?
その経験から私が学んだことはただ一つ。
立派な子を作んなくたっていいじゃん。
人を傷つけたり、怪我させたりしない子なら、それでいいじゃん。
ということだった。
ネットにハウツーは溢れてる。
でも色々な人が居るわけで、世間が言うような決まり切った子育て論に合わせて行くわけも無いわけだ。
そう悟ったのは、娘が小学校に入るときだった。
その時に親子でADHDだと分かったからだ。
よく学習・発達障害があると言うことを認めたくないという人の話を耳にする。うちは通常級に通っているが、やっぱり支援は受けている。でも分かった時は実はホッとしたのだ。
だって私のコミュ障に理由があったことが分かったから。
理由も泣く人間関係が常に悪くなるのを繰り返していると、自分が駄目駄目だと思い込むし、実際に私の自己肯定感は最悪である。
それでも『なぁーんだ、自分がコミュ障だったのは、ADHDかぁ~』と納得できたのは大きい。
なので私は娘も私も、無理矢理世間の育児論に合わせて生きるのはきっぱりやめた。相変わらずコミュ障な私ではあるが、娘は支援のおかげで友達を沢山作り、楽しく学校に通っている。
登校拒否をしていた私からすれば、娘はすごい奴である。
息子も発達障害があるようだが、今の所のびのびと暮らしている。
そんなわけで私は『主婦ニートである自分』も結構気楽に受け止められているのである。
カクヨムをご覧の若者の皆様。
子育てをするときに大事なのは、自分も子供も楽しければいいってことを忘れないようにすることだと思う。
もちろんマナーとか礼儀は最低限教えないと駄目だし、人を傷つけたらその人も周りも悲しむことも教えないとだ。
でもね、テレビを一日30分以上見せても、結構まともな人格者に育つし。
ゲームをしまくってても、何か目標をみつけたら走り出せるよ。
そんなわけでハウツーは子育てにいらないんじゃ無いかなっていう、私流のお話でした。
……ちなみに娘は今、立派にアニオタで、息子は小学生にしてリア充です……あれ?
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