第6話 まわらないお金はお金じゃない ~銀行の役割と貨幣の歴史~(前編)

 日本円換算もやめた。

 異世界の物価もある程度構築した。

 基本的には物価の上昇下落だけを描く方針で作品作りをしている。

 仮想通貨も用意した。

 大金についても解決手段を準備している。


 さぁどんと来い!

 俺はどんな感想でも受け付ける。

 そう、感想王とは俺のことだ!!!!





 ……さて、そこでまた問題発生です。

 前話において、通貨の疑似仮想化などの手段を用いることによって流通手段は解決しました。



 では、例えば。

 主人公がそれこそ国家予算並みの金銭を所持していると想像してください。

 多くの作品では、それはもう景気よく散財してたりしますので、その場合は特に問題ないのですが。



 貯蔵するだけ貯蔵して、使わない場合はどうなるんでしょう?

 通常であれば、物理的な限界がありますので発生しにくい問題です。

 ですが、仮想通貨の場合は……?

 限界って、あるんでしょうか。



 現金の流通量と、預金や仮想通貨の流通量は一致しないことは前話にて述べさせていただいたかと思います。ですので、勿論ある程度仮想通貨の方が多いというのであれば問題は少ないんですが。


「……あれ。もしかして。引き出し可能な現金がなくなっちゃうの?」


 その通りです。

 こちら、現実世界の経済史において、常に問題になるのが「流通しない金銭の取り扱い」でした。つまり、現金が死蔵されてしまった場合、ですね。


 現金はあるところにはある。

 けれど、必要な場所にない。


 かつて、多くの国家にて似たような問題が発生し、場合によってはそれを一因として国家が滅んだ、なんてこともありました(秦なんかそうですね)


 そこで重要になるのが、「銀行」の存在です。

 銀行とは何のために存在するのか。

 銀行にはどんな役割があるのか。


 それは、お金を流通させる、ということです。


 銀行は、お金を預かり、そして必要とする人に貸し付けます。

 持ち運びが大変な貨幣の代わりに預かり証を発行し、どこの支店でも受け取れるようにしたりもします。


 ですので、例えばあなたの異世界において、主人公が銀行など(多くは冒険者ギルドや商業ギルドなどでしょうか)を活用して通貨を貯蔵し用いているのであれば、あまり問題ありません(銀行が代わりにお金を市場に流してくれます。……そんな設定ない? では、もし突っ込まれたらそういう設定にすることも検討してくださいね)


 問題となるのは、個人で死蔵してしまっている場合です。

 或いは、ドラゴンなどが大量に財宝を保有してしまっているような状況も考えられるでしょう。


 悪徳貴族が大量に保有している?

 ああ、実は貴族にも銀行的な側面はあります。

 通貨(物品も流通していれば通貨です)を税として収集し、そして派手に使っていることが多いんじゃないですか?


 ……死蔵している?

 なるほど、それはまさに悪徳ですね。

 それをどうにかするプロットを組んでみるのも、また楽しいのではないでしょうか。



 話がそれました。



 さて、前述のとおり。

 流通しない貨幣。

 それはもう通貨ではありません。


 多くの作品においては、やはりそれは枝葉末節の部分であるので、問題になることは少ないのですが。


 リアリティを追求した場合。

 その場合少しだけ、違和感が出てしまうかもしれませんね。

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