第4話 貨幣の流通について~お金はどこまで持てるモノ?~

 通貨、とは、流通貨幣の略称であります。

 その流通は一組織によって厳密に管理されていることが多いです。


 日本で言えばそれは日本銀行になりますね。

 今日本で使われている通貨、紙幣の名称はその名もズバリ「日本銀行券」です。日本銀行が流通を担い、造幣局が製造とリサイクルを行っております。


 では異世界においては?


 多くの作品でその点は明確になっておりません。

「国が作ってるのかな?」「冒険者ギルドで管理してるんじゃない?」くらいでしょう。


 何故か。


 はっきり申し上げてしまえば、そこは枝葉末節だからです。

 本筋には関係ない部分なので、適当に処理されている、もしくは設定はあるけれども開示されていない、という状況であることが多いでしょう。


 経済がテーマでない限りは、それは正しいご対応だと思います。

 では何が問題になるのか?


 それは「流通」です。


 金貨や銀貨、銅貨などはその名が示す通り硬貨です。

 つまり金属でできています。


 貨幣、と言っても皆様が想像されるサイズは様々だと思いますが。

(それこそオリンピックの金メダルなど)

 ここでは仮に、500円玉くらいのサイズであると仮定してみましょう。


 で、銀貨数百枚の買い物をしなければならない、と想像してみてください。



 イメージできましたでしょうか。

 そうです、問題がありますね。


 重いんです。


 銀貨、仮に500枚としましょうか。

 金属の含有組成量が500円玉と仮に全く同一であり、重力も地球と同一であると仮定しても、その重さは3.5kg。


 ちょっとしたダンベルです。


 それを袋か何かに入れて買い物する、というのはちょっとしんどいことでありますね。それらが例えば1億枚、とか。



 持てません。

 数え切れません。



 最も、多くの作品ではそれに対する回答もなされています。

 それは例えば魔法であったり、アイテムボックスなどの専用倉庫であったり。

 キャッシュカード的な存在(多くの作品ではギルドカードなどでしょうか)を作り、それで管理したり、ですね。


 これはつまり、通貨を疑似的な仮想通貨へと変化させているのです。

 仮想通貨であれば、重さなどは考えなくて済みますし、数える手間もありませんね。

(ゲーム世界であれば、そもそもが多くの作品では仮想通貨なので、問題になることは少ないでしょう。何よりも『ゲームですし』という魔法の言葉があります)


 それらは一つの答えだと思います。

 或いは、厳密に設定し、貨幣の種類を増やす(例えば大銀貨、小銀貨、大金貨、白金貨など)などの対応もありでしょう。

(但し前話で述べたように、少なくとも一国での通貨単位は統一したほうが良い)



 ですが前述しました通り、経済がテーマでない限りは枝葉末節に過ぎません。

 また、経済テーマで扱うのであれば、硬貨の重量問題などを解決するまでを描いた作品なども面白いでしょう(すでに数多くありますが……)



 ですので、そういった作品などを参考にしつつ、銀行的な存在などを用いて「重さはあるけれど、解決手段もあるよ」と描かれるのが良いのではないでしょうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る