第3話 貨幣の単位はどうすればいい? ~統一単位について~
経済とは人の動きの結果である、と某柳沢教授は仰っておられました。
つまりは、貨幣価値の上下によって人の動きが想像できるような描き方が最も面白いのではないかと、個人的には考えています。
さて、そこで重要となるのが、貨幣単位の制定です。
ではまず、貨幣の定義について確認しましょう。
「貨幣」という語は、
商品の価値尺度や交換手段として社会に流通し、またそれ自体が富として価値蓄蔵を図られるもの。鋳貨・紙幣のほかに、当座預金などの信用貨幣を含めていう場合が多い。
(goo辞書より http://dictionary.goo.ne.jp/jn/44347/meaning/m0u/)
そうです。
一口に貨幣と言っても、実は様々な種類があります。
貨幣史を紐解けば、まぁ出てくる出てくる複雑怪奇な貨幣制度が。
リアリティを求めるあまり、その複雑な貨幣制度を採用し、結果的に作品のテーマが伝わらなくなった、なんて話もよく耳にしますね。
そもそも10進数ではない、とか。
多種多様な貨幣の種類があって理解しきれない、とか。
場合によっては物々交換も主流だ、とか。
それはそれで読んでみたいですし、個人的には好きなジャンルなのですが。
経済テーマ以外でそれらの小道具、小道具の枠で収まるとは思えないのですね。
ですので、こちらも分かりやすいほうが良いでしょう。
とはいえ、単純すぎるのもどうかという意見にも頷けます。
VRMMOなどを題材にしたものであれば、共通単位の共通通貨でも問題ないでしょうが、異世界ものになると、せめて金貨銀貨は欲しいですよね。
では金貨銀貨銅貨の3種類でどうでしょうか。
え?
俺はチート主人公が使いきれないほどの金を使いまくるのが好きだから、高額貨幣も欲しいんだ?
なるほど。
それ、金貨100000000枚とかで表現できませんか?
駄目ですか。そうですか。
じゃあ、貨幣の種類とは別に、単位を制定しましょう。
いわゆる通貨単位ってやつです。
先程のドラゴンクエストの例でいうなら、金貨1枚=1ゴールド、とかです。
庶民の年収が例えば10ゴールド、とか併記しておけば、より分かりやすくなりませんか?
リアリティを求めるなら、本来は通貨の種類によって単位を分けるべきです。
ゴールド、シルバー、カッパー、などですね。
ですがそれだと、どうしても脳内で読み込んでから変換する、という作業になり、スムースに読めません。
重要なのは、前述したとおり金額の多寡により人の動きを表現することですので、そこは単純にしましょう。
ですので、
1、通貨の種類は複数あってもいい
2、単位はなるべく統一し、わかりやすくしよう!
というところでしょうか。
では例を。
次の街へ傭兵と共に向かった旅人。
その途中盗賊の襲撃を受け、傭兵の活躍によりそれを撃退。
それどころか、アジトを急襲し、盗賊がため込んだお宝をまんまと手にします。
「凄い……金貨100枚はあるぞ……」
「見込み通りだ。……依頼を受けた甲斐があったぜ」
「……ん? アンタ、もしかして予想してたのか!?」
「じゃなきゃあ、あんなはした金で受けんよ」
続きまして、単位を変更します。
通貨単位を設定してみましょう。ここでは仮にオクタールとし、
銅貨1枚=1オクタール(通貨単位)、金貨1枚=1万オクタールとします。
「凄い……100万オクタールはあるぞ……」
「見込み通りだ。……依頼を受けた甲斐があったぜ」
「……ん? アンタ、もしかして予想してたのか!?」
「じゃなきゃあ、あんなはした金で受けんよ」
如何でしょうか。
受ける印象に違いはありましたか?
最も、ここは個人差がある部分です。
金貨100枚の方が凄そう、と思ったのならば、それを採用するのも手でしょう。ここで重要なのは、凄い金額を手に入れた描写をすること、でした。
ですので金貨+枚数というのは多くの作品で採用されていますし、理解を得られやすい部分もあるかと思います。
ですが例えば、その通貨単位の名前の由来とか、他国ではどうなのか、とか。
そういうのを考えるのも楽しいと思いませんか?
それではまとめましょう。
異世界経済をデザインするにあたって、重要なこと(経済がテーマでない場合)
1、日本円換算はなるべく避ける(理由があるならば別)
2、金額そのものよりも、それが主人公の視点から見て、高いか安いかを描写する(経済の動き方を描写することに重点を置くのが良い)
3、単位はわかりやすければわかりやすいほど良い(できれば通貨単位を)
以上となります。
私見に長々とおつきあいいただきありがとうございました。
何かの参考になれば幸いです。
それでは、皆さま。
良い創作ライフを!
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