第1.20話

「えっ! オバマってもう大統領じゃないの!?」

「は? おめぇ、今さら何言ってんだよ」

「沙羅魅初耳なんだけど!」

「おいおい、大声でそういうこと言うなよな。一緒にいるオレもバカだと思われるだろ!」

「え~! オバマがやめたらオバマベアはどうなっちゃうの!?」

「おい、なんだよそれ! どこのゆるキャラだよ」

「公ちゃん知らないの? ベアって言ったらクマのぬいぐるみに決まってるでしょ!」

「いやいや、誰も知らねぇから。オバマケアしか知らねぇから」

「え~、熊狩りに行った時にトドメを指したって話のあれだよ~」

「そのクマの話はテディベアでルーズベルトじゃね?」

「え? 南北戦争の?」

「そうそいつ」

「あと父親の形見の桜の木を切ったっていう?」

「そうそいつ」

「それから日本に原爆落としたってやつ?」

「それはちげぇし。あとそういうのは不謹慎だから言うなよな」


「で、そのルーズベルト・リンカーンは他に何したの?」

「そりゃ、ニューディール政策に決まってんだろ」

「......あ~、あのソ連と宇宙開発のなんたらをうんたらしたっていうニューなんとか計画ね」

「ニューディールな」

「で、その人は他に何かした?」

「マリリン・モンローと浮気したな」

「えっ、ってことは暗殺された大統領じゃん!」

「はぁ、今さらかよ! おめぇはどの大統領だと思ってたわけ?」

「え~、なんか髭の生えた人!?」

「なんだその適当なイメージ。さてはおめぇ全部知ったかぶってたな」

「そんなことないよ~。知ってるよ~。沙羅魅は大統領のことなんでも知ってるよ~」

「じゃあ、今の大統領言ってみろよ」

「え~! それは絶対知らないって~! 公ちゃんずる~い!」

「ぜってぇ知ってるし。あのトランプがアメリカ大統領だし!」

「え、トランプがオバマの後釜だっったの?」

「そうだし、やっぱおめぇ今の大統領知ってたじゃん!」

「結果的にはそうだったけど、誤解してただけだよ~」

「誤解じゃなくて無知だっただけだろ」

「そう、それそれ! トランプだけにね♪」

「って、おめぇ何最後に上手いこと言ってんだよ!」

「へへへ、今日は爪が甘いとは言わせないもんね♪」

「ち、沙羅魅のくせにやるな。熊ある馬鹿は爪を隠すってやつだな」

「そう、それそれ♪」


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