第7話『魔災チルドレン』〜その肆〜
不思議なことに、
彼女と付き合うようになってから
ときどき、魔災の夢を見て
うなされるようになった。
生きたいという熱のような欲が
出てきた反動なのかもしれない。
そんなとき彼女は、
あなたには私が必要なのよといって、
ぼくを優しく包んでくれた。
彼女がぼくのアパートに泊まりにくる日は、
とにかく妹を早く寝かせた。
そして、魔災のフラッシュバックから逃れるように、彼女とまぐわり、安心を求め続けた。
ある日、
ぼくは真剣に彼女へのプロポーズを考えた。
生活も、二人で生きていくぶんには
困らない程度の稼ぎはある。
貯金はまだそれほどないけれど、
少し高めの指輪くらいなら買えると思った。
店に入って物色しようと思ったが、
気おくれしてなかなか入れなかった。
第一、彼女の指のサイズが
ぼくには検討がつかなかった。
彼女と会ったときに実物の指をそれとなく眺め、ネットで調べて目安がわかった。
休みの日、テレビゲームに夢中になっている妹に、ちょっと出かけてくると伝え、
ぼくは駅前の宝飾店に向かった。
そこでシンプルだけど、彼女に似合いそうな指輪を買った。
すぐに彼女に連絡して、向こうのマンションで会うことになった。喜びいさんで彼女のマンションの前についたとき、マナーモードにしていた携帯が激しく震えた。
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