第4話『魔災チルドレン』〜その壱〜

【ご注意下さい!】

※魔災(まさい)チルドレン

→架空の大震災の被害児童

※地震前の作品です。不謹慎の極みですが、

架空作品と思える方だけお読みください。


…………………………………………………………

【前編】


ーー今思えば、ぼくは本当にどうかしていたんだと思う。妹のことを忘れるなんて…


ぼくらは、「魔災(まさい)チルドレン」といわれてきた。両親と住む家をそれで亡くしたから。


視界をおおう炎と煙……

人々の泣き叫ぶ声と、それをつんざくけたたましいサイレン……

がれきの下で、ぺちゃんこになっている父と母……

道路の割れ目に飲み込まれ、

あちこちで逆立ちしている自動車の群れ……


まるで人類の墓標だった……


それは、あまりに突然のことだったせいかもしれない。


ぼくにはぺちゃんこの両親も、崩壊してしまった街も、どちらも現実感がなく、大作映画のセットにでも紛れ込んでしまったのだろうと思った。


中学三年だった。


ぼくには妹がいて、彼女には軽度の知的障害があった。いつもぼくの後ろについて、袖をひっぱり、上目づかいで、鼻水をたらしていた。


それを服の袖でそのまま拭おうとするので、ぼくはいつもポケットティッシュを持ち歩いていなければならなかった。


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