01 朝陽
完全に闇に包まれたビル街に、揺れる光のカーテンが立ち上がり、ゆっくりと広がってゆく。
マンションのベランダから、私と彼女は夜空のオーロラを見上げた。
「素敵ね!」
ワインを飲んでほろ酔い気分の彼女は、私の肩にしなだれながら言った。
「北欧では古くから、オーロラは神と人間の世界を結ぶ橋と信じられていたんだ」
「神秘……的……ね……………」
彼女はワインに入れた睡眠薬で眠りに落ち、華奢な指先からワイングラスが落ちて砕け散った。
私は彼女を抱きかかえると寝室に運び、ベッドの上に静かに横たえた。
彼女は、太陽の巨大な爆発、スーパーフレアが起きたことを知らない。
わざわざ怯えさす必要もない。
彼女は、このまま静かに眠らせてあげよう。
強い放射線と高エネルギー粒子に曝され、既に地球の裏側は壊滅した。
ここも間もなく、夜明けとともに太陽フレアが直撃する。
私は恋人が眠るベッドに腰かけ、静かに窓を見つめた。
「知ってるかい?オーロラを一緒に見た恋人たちは、一生一緒にいられるという……………」
朝陽が昇った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます