17 痴漢
「この人、痴漢です!」
満員の通勤電車、けたたましい声をあげ、少しとうが立ったOLが、一人の紳士の腕を持ち上げた。
一斉に車内の注目を集めた紳士は、落ち着いた声で言った。
「失礼ながら、私はあなたに一切の性的魅力を感じません。そのような行為に及ぶはずがありません」
「嘘よ!あんたのこの手が、私のお尻を触ったわ!」
OLが掴んでいた紳士の腕が、ポロッと外れた。
「ご覧のとおり義手です」
「私の匂いをクンクン嗅いでいたわ!」
紳士は自分の鼻を取り外した。
「ご覧のとおり義鼻です」
「あ、あんた、私のこと、いやらしい目で見てたじゃないの!」
紳士は、自分の両目を取り外した。
「ご覧のとおり義眼です」
「とにかく、いやらしいこと、考えていたに決まってるわ!!」
紳士は自分の頭をパカッと開き、中から操縦席と小人が現れた。
「ご覧のとおり義頭です」
「フン!いくら言い逃れをしても無駄よ!」
電車がホームに到着すると、その哀れな小人は、OLと駅員に捕まり、どこかに連れて行かれた。
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