31 ミステリー
人気のミステリー作家、田中晴美は、実は十年ほど未来からタイムスリップしてきた少女だった。
タイムスリップした時に、治美はたまたまタブレットPCを持っていた。
そこには今後十年の間に大ヒットする数々の電子図書が保存されていたのだ。
治美は生活費を稼ぐため、タブレットPCの中の小説を自分が書いたことにして発表した。
新作を発表するたびに、テーマとジャンルと文体が新しくなり、読者は度肝を抜かれた。
晴美のパクった小説はどれも大ヒットをし、彼女はミステリーの女王とよばれた。
もちろん本当の作者はどこかに存在し、書いている途中の小説もあっただろうが、早いもの勝ちだ。
だが、ある殺人事件のミステリーを発表すると、晴美は警察に捕まった。
「だから、あれはただの小説です。犯人は私じゃありません!」
「嘘つけ!お前がこの前発表した小説には、暗殺犯しか知らない事件の詳細が書かれていた。まだ、誰も知らない機密事項だぞ!」
「私、ニュース見ないから、まさか、実在の総理大臣暗殺事件をモデルにした小説だったとは知らなかったんです!」
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