14 染色惑星

 俺たちの宇宙船が着陸したその星の住民は、百人百様、カラフルに彩られた肌の色をしていた。

 住民たちは普段食べている食料によって肌の色が染まり、その肌の色によって階級が決められていた。

 一番身分が低い住民の肌の色は黒で、色が薄くなるほど身分が上になるらしい。


 私は地球の外交使節団の長として派遣されたのだが、肌の色が褐色なため、住民たちがまったく相手にしてくれない。

 腹が立つが、仕方ないので、コーカソイド出身の色白の部下を代表にし、その星の王宮に向かった。

 住民たちに丁重な扱いを受け、部下もまんざらでもない様子だった。


 我々は謁見のため、王座の間に通された。

 だが、王座には誰もいない。

 部下は周囲を見回し、王様の姿を捜した。


「頭が高いぞ!無礼者!」

 何もない空間から怒鳴り声がした。

 部下は慌ててその場にひれ伏せた。


 この星で一番身分の高い王様は、透明人間だったのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る