第4話「密着警察24時をリアルに体験」


先ほど紹介したコンビニを辞め、別のコンビニで働く事となった。その日は夕方勤務であと2~3時間で仕事が終わる頃だった。もうすぐ終わりだなと思いつつも、揚げ物を作ったりと作業を続ける。お客さんもほとんどおらず、相方の女の子と談笑しながら仕事をしていた。外は茜色がそろそろコバルトブルーへと変わる瀬戸際だった。

すると、入店音が鳴る。




「いらっしゃいませー」




レジに突然、男性のお客さん二人がドドドと慌ててやってきた。二人はまだ若く20代そこそこという所だろうか。彼らは鬼気迫る表情で開口一番にこう言った。




「あ、あの、外で誰かケンカしてるんですけど、店員さん警察呼ばないんですか!?」




-いや、お前らが携帯で電話したらええやん。




と思ったものの、取り敢えず子機を手にして外へ行ってみる。このコンビニの裏側には路地がある。正面扉前でのケンカならすぐわかるが、いないという事は裏側の路地だ。路地から奥はラブホに通じる裏通りであり、昼でも人通りが少ない。案の定、そこで誰かがケンカをしていた。正確には、プロレスのマウントをしているのだ。つまり、一人が相手の腹の上に乗っかている状態だ。「警察呼べや!」などと相手に叫んでいる。筆者は子機で110番を押し、警察に通報して状況を説明した。それから一旦店内に戻り、数分後。




まず、自転車に乗ったおまわりさんが二人やってきた。だが、すぐにパトカーが5台ほどやってきて、周りが赤一色で埋め尽くされた。これはもう密着24時を間近で見ている気分だ。近所の住民たちが何だ何だと騒ぎ出し、野次馬も集まってくる。そして、複数の男性が警察に連行されていった。後で聞いた話だが、どうも複数人がケンカしまくっていたそうだ。どういう経緯でケンカをしたのかはわからないが……。

まったくいい迷惑である。




この頃から筆者は警察に電話する事に対して慣れていくようになった。

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