第5話「おばあちゃんって奴は…」


その日は朝から勤務だった。眠い目を擦りつつ、チャリで職場へ。何故か、妙に店長が上機嫌だった。いつもなら挨拶しても返さないような最悪な人が、だ。接客態度だってお世辞抜きで最悪で、愛想のよい笑顔などまず無い。そんな人が何故、上機嫌なのかというと理由は単純。この日、SV《エスブイ》がうちの店に来るからであるSVは女性の方だが、その人が来ると店長は無駄に愛想よくなる。こちらが砂吐きそうなほど上機嫌になる。




彼女は店舗の運営管理・指導をする本部側の人間だ。スーパーバイザーを略してエスブイと呼ばれている。コンビニにもよるが、その店ではSVの方が店長より権力が上。店長も雇われなので、その人には頭が上がらない。今日はそのSVさんと何やら話し合いをするらしい。SVが来る時だけは笑顔なんだよな…うちの店長は。それを俺らバイト君にも向ければいいのに。そう、ため息をつきつつも、とりあえず朝の日課を始める。掃除をしたり、レジをしたり、昼前になったら揚げ物を作ったり…。その間、店長は事務所でSVさんと話をし、レジには応援に来ない。なので、筆者一人で接客もその他の仕事もこなさなければならない。まあ、朝はまだ暇なのでハードでもないのだが。



そんな時、凄まじい音が聞こえた。耳がつんざくような衝撃音とでも言おうか。外に出てみると、目の前の交差点の所でライダーがバイクごと倒れている。動く気配はなく、殺虫剤で死にかけたゴキブリのようにピクピクとしている。何人か野次馬ができており、話を聞くとこうだ。




うちのコンビニの前は道路になっており、交差点になっている。ライダーは普通にバイクを運転していたが、突如、想定外の事が起きた。なんと赤信号にも関わらず歩いているお婆ちゃんがいたのだ。ライダーは慌ててかわそうとしたが、うまく回避できず、そのままガードレールへと突っ込んでしまったそうだ。お婆ちゃんは何が起きたのかわかってないらしく、そのまま何事もなく去っていったという…。




筆者が救急車を呼ぶまでもなく、すぐにサイレンの音が聞こえてきた。どうも通行人か野次馬の誰かが呼んだらしい。しかし、ライダーさんとんだ災難だな。可哀想に……。カクヨムにはバイクや車を運転する人も勿論いるだろう。皆様、運転の際にはくれぐれも気をつけてください。













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